宇宙にエイリアンがいるのか本気で考えてみたら 「フェルミのパラドックス」vs.「浸透理論」

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高度な文明をもった地球外知的生命は存在しないのか?(写真:Graphs/PIXTA)
エイリアンは本当に存在するのか?
まるでSFの話のようですが、いまや地球外知的生命探査(SETI)は、世界中の研究者が取り組む最先端の科学分野です。
イギリスの科学ジャーナリストであるキース・クーパーが、「地球以外に住みやすい星はあるか」「地球外からのメッセージは見つかるか」「エイリアンとのコンタクトは危険か」などのさまざまな謎に挑む科学者達に取材した『彼らはどこにいるのか』より、一部抜粋・再構成して、「エイリアンは本当に存在するのか」をめぐる考察を紹介します。

みんなどこにいるんだ

1950年、フェルミ〔注:エンリコ・フェルミ(1901-1954)。イタリア出身の米国の物理学者〕はある日ランチタイムに同僚と休憩室にいて、同僚のひとり、エミール・コノピンスキーが、『ニューヨーカー』誌の最新号(正確に言えば5月2日号)を読んでいた。『ニューヨーカー』は、今も刊行されている風刺に富んだニュース雑誌だ。

その号では、ニューヨーク市街の不可解な話がふたつ記事になっていた。ひとつの記事では、ゴミ箱の奇妙な盗難が相次いでいると伝えられていた。もうひとつの記事には、アメリカで巻き起こっている最新のブーム、空飛ぶ円盤の目撃報告について記されていた。『ニューヨーカー』の漫画家はふたつの記事をひとつにして、緑の小人たち〔注:宇宙人のことをよく表現される外見からこう呼ぶ〕が触手でゴミ箱をつかみ、空飛ぶ円盤に駆け込んでいる絵を描いていた。

それでフェルミは考えた――ゴミ箱や空飛ぶ円盤についてではなく、もっと大きな視点の話だ。

「みんなどこにいるんだ?」

彼はおおげさに尋ねた。おそらく空飛ぶ円盤の報告はいかさまか飛行機の見間違えだと考え、ETがわれわれのもとを訪れていないのは恒星間旅行が不可能だからなのではないかと思っていたのだろう。

1970年代に、フェルミの疑問は、フランク・ティプラーなどの科学者によってアレンジされた。彼らは、パラドックスと表現したものに変えたのだ。70年代はダイダロス計画の時代で、ボイジャー探査機が外部太陽系と遠くの星々へ向けて飛び立つところでもあった。

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