アニメと漫画が「生きがいの男」が結婚で得た幸せ 白髪交じりのヒゲ&ジーンズの隣には…

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「彼女がアルバイトを辞めた理由は、私の接客姿勢の悪さです(笑)。彼女は接客業でのキャリアが20年もあるので、客の注文を忘れたりする雑な私が我慢ならないのでしょう」

美里さんが結婚を決めた理由

ではなぜ美里さんは栄一さんと結婚することに決めたのか。栄一さんが飼っているオスのミニチュアダックスに惚れ込んだらしい。この家庭は今でも犬をかすがいにして成り立っているようだ。

「夫婦で犬を猫かわいがりしているので、毎日の会話は楽しいですよ。犬が思っているだろうことを想像してアテレコするんです。『お姉さんはずっと寝ているんだから、まったく!』とか『お兄さんと散歩に行ったらウンチが止まらなくて大変だったんだよ~』とかですね。ちなみに私たちのことはお兄さん、お姉さんと呼ばせています(笑)」

アニメオタクの面目躍如な会話である。なお、2人が住んでいるのは栄一さんの実家であり、87歳の母親も同居している。認知症を患いつつも、息子のために洗濯をしたり朝食を作ったりすることを張り合いにしているようだ。夜型で生活習慣も異なる美里さんは義母とぶつからないためにも朝食などには参加せず、夜遅くに店から帰ってくる栄一さんのために食事を作ってくれるという。そして、彼らの間にはつねに愛犬がいる。

「もう14歳です。私たちの子どものような存在なので、いなくなってしまったらどうすればいいのでしょうか。怖すぎて話題にもできていません」

やがては犬だけでなく母親も旅立ち、広い家に栄一さんと美里さんが残される。夫婦だからと言って2人だけで向き合い続けているわけにもいかない。それぞれが志を持ち、お互いを尊重していたわり合う関係でありたいものだ。

ホステス業を辞めた美里さんはアクセサリー作家として活動中。一方の栄一さんにも目標ができた。店に来る客たちはマンガやアニメのファンでありながらも職業はバラバラで、さまざまな話を聞かせてくれる。それを参考にしながらマンガの原作を書くのだ。

「実は、原作は昔からずっとやりたかったことなんです」

今日の取材でいちばん元気な声で話してくれる栄一さん。50歳までは長すぎる青春時代を過ごしていた。いま、家計を支えつつ、自らの夢も追いかけ、美里さんの作家活動も応援したいという。この姿勢があれば、試練があっても夫婦関係は揺るがない気がする。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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