オミクロン株で知る「ギリシア語」知られざる話 何気なく使っているギリシア語由来の単語

✎ 1〜 ✎ 81 ✎ 82 ✎ 83 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

オミクロン株が発表されたときには、使用されなかったν(nu〔ニュー〕)とξ(xi〔クサイ〕)のことが話題になりましたね。ν(nu)は英語のnewとまぎらわしいためと言われていました。たしかにthe Nu variant(ニュー株)と言うとthe new variant(新しい変異株)と言っているように勘違いしそうですね。その変異株が実際に新しいうちはいいですが、さらに新種の変異株が登場したら、発音だけではthe Nu variantとthe new variant、どっちの話をしているのか混乱しそうです。

ξ(xi)については、中国の習近平(Xi Jinping〔シー・ジンピン〕)国家主席に配慮したのではないかと報道されていましたが、WHOの関係者によるとBecause Xi is a common last name.(習というのは、よくある姓のため)なのだそう。習国家主席だけでなく、世界の習さんのためということですね。ウイルスの変異株に自分の姓が使われたら、誰でも嫌ですよね。

残るギリシャ文字はあと9つ。すべて使い切ったら、星座の名前を使うとか使わないとか……。the Cassiopeia variant(カシオペア株)とかthe Orion variant(オリオン株)、the Andromeda variant(アンドロメダ株)なんて呼ぶのでしょうか。でも、順番はどうするんだろう。もしかしたら黄道十二星座にして、the Aries variant(おひつじ株)から順に、the Pisces variant(うお株)まで進めていくのかも?

ギリシャ文字、英語の発音は日本語と違う

英語のニュースなどを聞く方は知っているかもしれませんが、ギリシャ文字の発音は日本語と英語で少し異なります。英語ではどのように読まれるのかを見てみましょう。アメリカ発音とイギリス発音をLongman Pronunciation Dictionary(ロングマン英米語発音辞典)を参考に表にしてみました(カタカナ表記はあくまでも発音のイメージです)。英語でギリシャ文字を耳にしたときに、しっかり聞き取れるように確認してみましょう。

まず初めの3つですが、発音ではα(alpha)とγ(gamma)の/æ/(エァ)の音に気をつけましょう。β(beta)はアメリカ英語とイギリス英語で母音が異なり、アメリカは/eɪ/(エイ)、イギリスは/iː/(イー)となります。tの音はアメリカでは弾き音の/ſ/(/d/や日本語の「ラリルレロ」に似た音)になることが多いですが、普通の/t/でも構いません。

日本語でも、ギリシャアルファベットの初めのほうの文字はよく耳にしますね。そもそもalphabet(アルファベット)という単語自体がα(alpha)とβ(beta)に由来しているのは知っていましたか。alpha version(アルファ版)、beta version(ベータ版)などは、ソフトウェアの開発にかかわったことのある方なら聞いたことがあるのではないでしょうか。

次ページ三角洲の由来?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事