布団の天日干しで「ダニが死滅」という大きな誤解 どこを対策すべき?「ダニが多い場所ベスト10」

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■ダニが多い場所ベスト10
1位 ふとん、ベッド、枕などの寝具類
2位 床面:畳、カーペット、各種マット類、階段
3位 押し入れ、クローゼット、タンス
4位 衣類、衣類収納容器
5位 ソファー、椅子、クッション
6位 ぬいぐるみ、人形
7位 キッチンの食品類、食品棚
8位 カーテン
9位 家具
10位 その他(家電、チャイルドシート、掃除機の中など)

まず、「1位の寝具類」です。どの家庭でも例外なくダニが多いのは、寝具類です。寝具といっても、敷きふとん、掛けふとん、ベッドのマットレス、ベッドパッド、毛布、枕などさまざまなものがあります。

その素材にも綿、化繊、羽毛、羊毛、絹など多種類にわたり、それぞれに特徴があり、ダニの増殖に影響します。

また、寝具には人間のフケや皮膚の破片、毛髪が付着しやすいので、ダニのエサが豊富にあります。

さらに寝具の中は程度に温かく、湿度もあるため、ダニにとってはまさに楽園のような場所です。ダニが多いのもうなずけます。

「2位のカーペットや畳」もダニの生息地としては最適です。床面にはフケや食べかすといった、ダニのエサになるさまざまな有機物が落ちています。

また、床面のすみっこやすきまにはハウスダストがたまりやすく、ダニの住処としては最適でしょう。

さらに厚みがあるカーペットや畳の中にもぐりこんでしまえば、ダニにとっては安全地帯です。とくに、畳の下やカーペットの裏側は普段掃除もしないのでダニの温床となっています。

床面で忘れてはならない重要な場所は階段です。階段は掃除がしづらく、角が多いため、ごみがとりにくい場所なので、ダニの温床となります。とくにじゅうたん敷きの階段は要注意です。

クローゼットは「ダニのるつぼ」

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3位の「押し入れ」は、ダニが一番多い寝具をしまう場所なので、必然的にダニが多くなります。また、冬の時期は夏用のふとん、夏の時期は冬用のふとんが長い間保存されているので、そこでダニが繁殖します。とくに押し入れは、湿気の多い場所でもあるので、ダニが繁殖するのに最適な場所といえます。

同様にクローゼットにダニが多いのは、衣類にダニがついているからです。衣類には人間の皮脂が付着していますし、繊維に付着したごみはダニのエサになります。

クローゼットはさまざまなダニが集まる「ダニのるつぼ」のような場所といってもいいでしょう。タンスもクローゼットと同様のことが言えます。

髙岡 正敏 ペストマネジメントラボ代表取締役

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たかおか まさとし / Masatoshi Takaoka

日本獣医畜産大学卒業。東京大学医科学研究所寄生虫研究部でダニの研究を始める。1975 年東京医科歯科大学医動物研究室教務技官に就任。1978年獨協医科大学医動物学教室講師に。グアテマラにフィラリア症対策プロジェクトの専門員として1年間派遣される。1980 年埼玉県衛生研究所環境衛生部技術吏員に就任。埼玉県立衛生短期大学非常勤講師、埼玉医科大学非常勤講師などを兼務。住居内のダニに関する調査を続け、莫大なデータを集める。2008 年埼玉県衛生研究所を定年退職。これまで行ってきたダニに対する調査結果をまとめ、アレルギー疾患に対する治療法と予防法を確立するため、株式会社ペストマネジメントラボを設立。
 

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