作田会長が描くルネサス浮上への戦略とは? 粗利率重視で事業構成を変えていく
――ルネサスは10月から組合員を対象に基本給の7.5%カットを予定しているが、その狙いとは。
その内容について会社側は公表していないが、100%間違っている情報でもない(編集部注:住宅や家族手当などの廃止・減額分を含めると削減率には個人差が出る)。基本的な考え方は、業績に大きく連動するボーナスの変動幅を増やしていくということ。給与を減らすと強調されてしまうと半分はイエスだが、別に減らすことが目的ではない。業績が上がればボーナスは増やしていく。
海外メーカーに比べて固定費の比率が高すぎる
――固定費を100億円削減することが、基本給削減の目的なのでは。
それはとらえ方の違いだ。100億円を減らすことが目的なのではなく、もっと費用を変動させられるようにしたい。ルネサスの競争相手は海外メーカーだが、それらと比較すると固定費の比率が高すぎる。社員からみたら、会社の業績が悪くなったら賞与も減るため、変動部分を大きくすることには不安を覚えるだろう。評価制度を導入したことで、給与の個人差が大きくなることに対する懸念もある。よほどの自信家でない限り、収入が減る心配を多くの社員が抱えている。
こうした不安に対し、私はとにかく実績で応えるしかないと思っている。昨年6月の賞与はゼロだったが、私の就任以来、昨年12月と今年6月は賞与を出し、今年12月も出す予定だ。現在の業績は決して悪くないと思っているので、こういう時はボーナスが出るということを社員に示すしかない。業績が上がると賞与も増えると体感してもらわない限り、理解はえられないかもしれない。
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