果てなきルネサス改革、賃金制度にもメス 10月から基本給大幅カット、成果主義も導入へ
「10月から基本給を7.5%減額します」
8月中旬の夏期一斉休暇前、ルネサスエレクトロニクスの各事業所では、総務担当者による説明会が行われていた。その内容は基本給の減額に加え、住宅や家族手当の廃止・減額などにより、月額の給与を平均10%削減するという厳しいものだった。
2月に会社側から申し入れがあり、労働組合との交渉が妥結したのは8月末。だが、説明会は7月から複数回にわたって開かれていた。「労使交渉が決着する前から説明するなど出来レースだ」と、あるルネサス社員は憤る。
基本給など年間100億円規模削減
昨年6月にオムロンから作田久男氏を会長に迎えて1年強。生産拠点の縮小など大胆なリストラを行い、3月末までは緊急対策として基本給減額が行われてきた。しかし新制度で、恒久的な措置となる。
業績の浮き沈みが激しい半導体業界に見合う収益構造にすることが目的で、基本給・諸手当・福利厚生を年間100億円規模で削減。年収に占める賞与の割合を引き上げることにより、業績連動で人件費を増減する。
たたき台にしたのは、大手コンサルティング会社の調査を基にした同業他社18社の平均値だが、それら社名を会社側は公表していない。「(母体企業である日立製作所、NEC、三菱電機など)総合電機ではなく、半導体業界にふさわしい人事・報酬制度の下で成果を上げてほしい」と、制度改革を主導する柴田英利CFO(最高財務責任者)は労使交渉で説明したという。
柴田CFOは昨年11月、ルネサスの親会社である官民ファンド、産業革新機構から転籍したばかり。人事を含む管理部門すべてを統括する立場であり、今回の狙いの一つに「頑張りたい人には可能性が開ける制度」を掲げる。
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