果てなきルネサス改革、賃金制度にもメス 10月から基本給大幅カット、成果主義も導入へ

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 その言葉どおり、新制度は社員間で年収格差が大きく開く仕組みになっている。肝となるのが、基本給削減に先駆けて6月支給の夏の賞与から導入された、新評価制度だ。

5月末、ルネサスのある中堅社員は、上司との人事評価面談で1枚の通知を渡された。署名は鶴丸哲哉社長となっており、文面の最後に書かれた言葉に衝撃を受けた。

「適材適所・適所適材を指向し、より相応しい職業機会を社外に求めることの検討も促すことにもなります」

給与格差は3倍に

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ルネサスの業績の推移

まるで退職勧告だ。上司から「キャリア相談室」に参加する必要があると言われ、ある事業所では30~40人が集められていた。新制度では社員の成果を11段階に分け、評価が0か1の社員には前述の通知を行い、キャリア相談室などの「新セカンドライフプラン制度」の利用を促す。 

賞与の支給額も評価に連動する仕組みで、2.5カ月分が支給された今夏の賞与の場合、係長・主任クラスで0評価者は60万円だったのに対し、10評価者は191万円と3倍もの差がついた。

さらに最低評価が2回続くと、「現在の等級に値する仕事を担えない」と判断され降格・降級となる。「事業部ごとの相対評価になるため、0から10まですべての評価をつける必要がある」(ルネサス社員)。低評価のつく者が必ず出てくるため、その都度、対象者は退職勧告におびえることになるのだ。

ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが統合してから4年超。リストラを繰り返してきたことで、社員数は当時の4万2800人から13年度末には2万7200人まで激減した。

それでも今年5月時点で作田会長は「人員の余剰感は25%くらいある」と述べている。16年度末までに、国内8工場の閉鎖や大幅縮小を予定する。 

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