果てなきルネサス改革、賃金制度にもメス 10月から基本給大幅カット、成果主義も導入へ
8月には設計・開発部門を再編し、配置転換に応じられない社員は早期退職の道を選んだ。付加価値の高いソフトウエア設計は本社に残す一方で、下請け要素の強い回路設計などの部門は子会社に集約。このため「いつ子会社を売却されてもおかしくない」と、子会社へ転籍した社員は戦々恐々とする。
実際に一部事業については、「売却の打診を受けたが断った」(国内中堅半導体メーカー)という話も漏れてくる。作田会長は非注力部門である半導体製品を25%(金額ベース)削減する方針を掲げており、製品構成の改善で「営業利益率2ケタを達成する」と語る。
今後は成長分野の車載用に資源を集中する方針だ。ルネサスは車載用マイコンでは世界で高いシェアを持つ。が、主力顧客が日本車メーカーのため、日本では自動車向け半導体シェア33.2%を握る一方、北米は8.1%、欧州は7.3%と心もとない。
強まる"脱トヨタ"
トヨタ自動車をはじめとする日本車メーカーのコストダウン要求も容赦がない。現在は、工場閉鎖に伴い生産終了となる半導体を作りだめしているが、「ある自動車メーカーは、10年分の在庫を買うから半額にしろと要求してくる」(ルネサス関係者)。当初、生産終了品は値下げの対象外とする予定だったが、その思惑は砕け散った。
こうした中、ルネサス社内では“脱トヨタ”が叫ばれるようになっているという。「そもそも業績悪化の元凶はトヨタだ。狙うのは、独ボッシュやコンチネンタルといった海外勢で、その先にはフォルクスワーゲンがある」(ルネサス社員)。
今回の制度改革で会社側が掲げるキーワードも、「グローバル競争力」「成果主義」「人財育成」だ。従来の下請け体質から脱皮し、グローバル企業へ変身する覚悟の表れとも受け取れる。熾烈なリストラと大規模な組織再編の先に、復活はあるのだろうか。
(「週刊東洋経済」2014年9月6日号<9月1日発売>掲載の「核心リポート02」を転載)
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