「バチェラー4」最低と最高で評価分かれるワケ 4代目「黄皓」が語るリアリティショーのモラル

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4代目バチェラー黄皓さん(写真左)と「どうせ、私がナンバーワン」がキャッチフレーズのインフルエンサー桑原茉萌さん(写真:Amazon プライム・ビデオ)

番組のキャッチではサバイバルバトルを謳っていますが、回が進むほど、蹴落とし合いよりむしろ、最近のリアリティショーで傾向が高い参加者同士の友情も育まれていきます。バチェラーだけでなく、参加女性も主役となって映し出されていることに好感を持てます。そして、これら参加女性17名から黄さんに選ばれた3人が実家の家族を紹介するまで進み、さらに残った2名は黄さんの家族と対面した後、最終的な判断が下されます。すでに最終話まで公開済みですが、結末に向けて「過去最低」から「過去最高の感動」に変わっていきます。

「見る側のリテラシーも上がっていくべき」と指摘

『バチェラー・ジャパン』シリーズは番狂わせも付き物。黄さんが最後にローズを渡すのか、もしくは渡さないのか。そんな臆測も飛び交いながら、ここではあえて結末は伏せますが、誰もが納得の婚活リアリティショーにふさわしいラストを迎えます。恋愛戦略以上の誠実さが勝利を収める結果に心が洗われてしまうほど。この着地点にバチェラー人気はまだまだ続いていきそうな勢いさえ感じます。

4代目バチェラー黄皓さん(写真左)と鍼灸師の藤原望未さん。参加女性も主役となって映し出される(写真:Amazon プライム・ビデオ)

興味関心が集まれば集まるほど、一般参加者が主役のリアリティショーにはリスクも伴います。過去に不幸な事故も起こり、参加者のメンタルケアの重要さも問われています。リアリティショーに参加した当事者として、黄さんにこの辺りについても思いを聞きました。

「僕の場合は多少の誹謗中傷は気になりません。エゴサをするといろいろと書かれていることもありますが、1つの声だと捉えて、見たくないものは無視します。ただし、誰でも当たり所やタイミングが悪いと何が起きてもおかしくない。ケアのしようがないこともあります。だからこういう状態を作らないように周りがサポートする必要はありますね。リアリティショーが増えていくと同時に見る側のリテラシーも上がっていくべき。見る側もモラルを持って楽しんでほしいと思います」

制作側もSNS監視などで被害を最小限に抑える体制も必要でしょう。ちなみに、中国「三国志」に登場する武将は黄さんと同姓同名。諸葛孔明死後に現れた小悪党として扱われているため、この武将に関するネガティブワードは多そうです。

「最低」から「最高」まで評価の幅が広い分、今シーズンはバチェラーファンの熱も入りやすかったのかもしれません。感情が揺れ動く恋愛のリアルをショーとして楽しめると、ラストに行き着いたときの感動の共感を大いに味わえそうです。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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