そして3つめは、抗S抗体、中和活性ともに、年代が上がるごとに値が下がる傾向にあり、またワクチン接種からの⽇数が経過するごとに値が下がる傾向にあったことだ。2500人の抗S抗体値を2回目のワクチン接種からの日数ごとにわけてみた結果が、以下の図である。
今回の検査では、主に抗S抗体、中和活性、抗N抗体の3種類の抗体価を計測した。これらの抗体について少し説明したい。
抗S抗体、中和活性、抗N抗体とは?
抗S抗体とは、ウイルスの外側にある突起に対する抗体で、新型コロナウイルスの感染やワクチン接種により上昇する。中和活性とは、新型コロナウイルスから⾝を守る⼒があるかどうかがわかる抗体で、新型コロナウイルスの感染やワクチン接種により上昇する。抗N抗体とは、新型コロナウイルスに感染すると上昇する抗体で、ワクチン接種では上昇しない。新型コロナウイルスに以前に感染した可能性を示すものである。
また、今回の重要な指標であるカットオフ値について説明しよう。
それぞれ3つの検査のカットオフ値(体が反応したかの⽬安となる値)は10 AU/mLとされている。ワクチンを接種していない、または新型コロナウイルス感染がない場合、⼤多数が10 AU/mL以下であることから決められた数字である。
したがって、10 AU/mL以上あれば感染しないというわけではなく、個人的な経験上、少なくとも200 AU/mL程度はなければ、ブレークスルー感染は防げないと考えている。感染を確実に防御できる、または重症化を防ぐことができる値がどの程度かに関しては、今後研究が進めばより明確になるだろう。
さて、このグラフは私自身の抗S抗体の推移である。私は2021年1月19日に新型コロナウイルスに感染したことが判明したのだが、陰性になってから継続的に採血を行ってきた。最初の採血は2月25日。既感染者であったため、抗S抗体価は287 AU/mLとカットオフ値よりもはるかに高かった。
その後、4~7月まで約1カ月ごとに検査を続けた。その結果、抗体価は緩やかに減少し、7月8日には72 AU/mLまで下がっていた。
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