「ヒグマ駆除で銃の使用禁止」にハンター怒りの声 裁判中に被害が相次ぎ、死者は10人を超える

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池上さんの地元・砂川市でも目撃情報は絶えず、今も市の鳥獣被害対策隊員を引き受ける池上さんは要請のあるたびに現場へ駈けつけている。当然ながら丸腰だが、「撃てば犯罪者にされる」という状況が変わらない限り、地元猟友会メンバーは引き金に手をかけることができないままだ。

折に触れ「私だけの問題ではない」と訴えてきた池上さんは、17日の判決言い渡し後も同じ言葉を口にすることになる。

「これが許されるなら、ほかのハンターも駆除に従事できなくなる――」

だが判決は文字通りの全面勝訴となり、言い渡しの瞬間は「これで多くのハンターが安心できる」と意を強くした。

原告の出動は公益目的で公共の利益に適う

札幌地裁の廣瀬裁判長は、判決の主文で公安委の処分を「取り消す」と明言、続く理由説明で「原告の出動は公益目的で、公共の利益に適う」とし、池上さんに違法行為はなかったと結論づけた。

また仮に鳥獣法違反と判断する余地があったとしても、それを理由とする銃所持許可取り消しは「もはや社会通念に照らし著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱、濫用したものといわざるをえない」と言い切り、公安委の処分を「違法」と断じた。

さらに当初の捜査のきっかけとなった「跳弾」疑いについても、次のようにほぼ全否定することになる。

「原告が発射した弾丸については、本件ヒグマから逸れたりすることもなく、これに命中したものである。またこの弾丸がヒグマの体を貫通し、さらに跳弾してどこかへ飛んだような事実を窺わせる証拠も見当たらない。そもそも原告が発射した弾丸が現場付近の建物に当たったとか、その建物を損壊させたなどといった事実は、本件証拠上まったく認められない」

池上さんはこれに「私の代わりに喋っていただいた」と意を強くし、「被告の主張にとどめを刺すような判決だった」と評価。代理人の中村弁護士も「行政の裁量権について『著しく逸脱』としてくれたことを評価したい」と感慨深げに語った。

一方、今後の銃によるヒグマ駆除について「判決は必要条件ではあったが十分条件とはいえない」と池上さんは訴える。

「これを受けて、改めて地元自治体、北海道、および警察の三者で話し合ってもらいたい。それから(何らかの合意を経たら)われわれに駆除を要請してもらいたい。私自身の銃が戻る・戻らないの問題ではなく、地域を守るにはどうするか、ハンターを含めた4者が協力すべきと以前から言い続けてきました。『何かあったら逮捕します』ではなく、一所懸命やってるハンターが私のような目に遭ったらどうなるかを考えてもらいたい」

判決後、当時の駆除要請を出した砂川市農政課は「正当な行為が認められてよかった。池上さんには3年あまりも不自由な思いをさせて申しわけなく思っている」と話し、今後改めてヒグマ駆除について協議の場を設ける考えを明らかにした。

被告・北海道公安委の事務を担当する道警は「判決内容を精査し、今後の対応を検討してまいりたい」とコメント。同日時点で控訴の意思の有無などは明らかにしていない。

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