日本の地位は、しばらく前までは、もっとずっと高かった。
1人当たりGDPで、2000年にはルクセンブルクに次ぐ世界第2位で、第5位のアメリカより8%ほど高かった。
アベノミクスが始まる直前の2012年には、順位が低下したとはいうものの、世界第13位。第10位のアメリカの95%だった。第20位のドイツより12%高かった。
つまり、いまほどに国際的地位が低くなったのは、アベノミクスの期間のことなのである。
こうなったのは、第1には円安が進んだからであり、第2には、世界が成長するなかで日本が成長しなかったからだ。
自国通貨建て1人当たりGDPの2000年から2021年の増加率をみると、つぎのとおりだ。
日本が4.6%、アメリカが91.0%、韓国が188.0%、イギリスが78.5%、ドイツが64.2%。
したがって、時間が経てば、日本は他国に抜かれていくことになる。
韓国の1人当たりGDPはまだ日本より低いが、成長率が著しく高いために、日本を抜くのは時間の問題だ。
これに円安が加わると、市場為替レートで評価したドル表示の日本の値は、さらに低くなる。
1970年代に逆戻り
私は、1960年代の末にアメリカに留学して貧乏学生生活を強いられたが、日米間の所得格差は、現在、その時と同じような状況に戻ってきている。
ドル表示の1人当たりGDPを日米で比較すると、表1のとおりだ。
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1970年には、アメリカは日本の2.54倍だったが、1973年2月に変動為替相場に移行してから日本の値は急速に高まり、1973年に日米の比率は1.98倍にまで縮小した。そして、1980年には1.33倍にまで縮まった。
しかし、2020年では1.61倍であり、1970年代に近い値に戻ってしまっている。
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