池上彰が混とん世界を先読み!「2022年3大テーマ」 相次ぐ選挙、中国、新しい資本主義の行方は
2022年秋の中国共産党大会で習近平総書記が3期目に突入するのか、同時に毛沢東以来の共産党主席というポジションを復活させるかが最大のテーマだ。過去に毛沢東による独裁政治が行われた反省から、共産党主席のポストは廃止され、集団指導体制に移行した。現在、政治局員7人の合議制ということになっているが、実態としてはすでに習総書記の思惑どおりに動く体制になっている。
「歴史決議」も行われ、中国の学校では習近平思想の学習が必修科目になった。ここで習総書記の力をさらに確固たるものにするのであれば、共産党主席を復活させるだろうとみる専門家が多い。その先では毛沢東以来の偉大な指導者として名前を連ねるために、台湾統一を成し遂げるしかない。毛沢東も鄧小平もなしえなかった大事業。あらゆる策を弄して台湾を手に入れようとするだろう。
日米豪印戦略対話「Quad(クアッド)」が2022年に日本で開催される予定だ。最近、中ロ合同軍事演習では日本領空ギリギリのところまで爆撃機が迫るといったことが起きている。中国包囲網をつくるなら中国はロシアと組んで対抗するぞ、という明らかな挑発的行為で、中国をめぐる緊迫した国際情勢が続きそうだ。そして北京冬季五輪。アメリカ主導の外交的ボイコットが広がる中で、日本もそれに倣えば中国との関係が悪化する。岸田文雄首相は難しい判断を迫られる。
脱アベノミクスの成果が求められる
岸田首相が掲げる「新しい資本主義」は小泉純一郎、竹中平蔵路線による新自由主義的な政策で拡大した格差を減らそうというもの。要するにアベノミクスからの脱却だ。岸田首相が尊敬するのは宏池会の先輩たち。池田勇人元首相の所得倍増政策は、インフラの整備によって高度成長が始まり、分厚い中間層をつくり上げた。岸田首相はこの現代版をやろうとしているが、物質的に豊かになり新たな需要を喚起することが難しい時代に何ができるのか。
有識者会議の「デジタル田園都市国家構想実現会議」も宏池会の先輩、大平正芳元首相の「田園都市国家構想」がベース。都市と地方の格差拡大を防ごうとする地方創生策で、それを岸田首相はデジタルの力で実現させようとしている。宏池会の伝統活用という思いは感じられるが、具体策が見えない。また、カーボンニュートラルの目標を新しい資本主義にどう結び付けて経済を成長させるかも焦点だ。
50兆円を超す経済対策の財政支出を閣議決定したが、岸田首相は参院選までに一定の成果を上げないと立場が危うい。お手並み拝見だ。
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