メルケル後のドイツ、不安定な新政権に試練多く コロナ再拡大、対ロシア外交、気候変動と難題続き

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政権発足に当たって3党は必要な妥協の準備があることを示した。177ページに及ぶ連立綱領には、気候変動対策の強化やデジタル化の加速に加えて、最低賃金の引き上げ、公共住宅の建設、財政黒字化を義務付ける「債務ブレーキ」の維持、気候変動関連投資の促進とそれに関連した財政規律の柔軟運営などが盛り込まれた。一方、高速道路(アウトバーン)のスピード制限や高額所得者への増税など、各党間で意見が食い違う政策の採用は見送られた。

SPDが重視する社会的公正、緑の党が重視する気候変動対策、FDPが重視する財政規律の各要素がちりばめられ、今後の政権運営の土台となる。政権発足後、重要閣僚に就いた各党のキーパーソンからも、政府を代表する立場からの現実的な発言が繰り返されている。

21名はショルツ氏の首相就任に反対だった

もっとも、新政権が団結と協調の精神を維持できるかは、今後の具体的な政策議論の場で試されることになろう。不安要素もある。無記名で行われた連邦議会での8日の首相選出投票は、賛成395、反対303、棄権6の結果に終わった。連立を組む3党の合計議席は416で、少なくとも21名の与党議員がショルツ氏の首相就任に反対票ないし棄権票を投じたことを意味する。メルケル時代の大連立政権で埋没したSPDは近年、党の左派回帰を進めてきた。

財務相兼副首相として前政権を支えたショルツ氏は中道寄りの人物で、党内の主流派とは距離もある。3党連立を維持するために必要な妥協は、SPDのみならず、緑の党やFDP内でも軋轢を生む可能性がある。ドイツ国政史上初の3党連立は、発足当初からさまざまな難題に直面する。堅実な政策手腕に定評があるショルツ新首相だが、難しい3党連立をどう束ねるか、その真価が問われる。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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