メルケル後のドイツ、不安定な新政権に試練多く コロナ再拡大、対ロシア外交、気候変動と難題続き

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新政権が直面する課題は多い。

新型コロナウイルスの感染再拡大にどう対処するかが、当面の優先課題となろう。ドイツは秋以降、感染第4波に見舞われている。1日当たりの新規感染者数は5万人を突破し、過去の感染拡大時の2倍以上に達する。ワクチン接種の進展で死者数は過去のピーク時と比べて少ないが、それでも昨年春の感染第1波を上回り、一部地域で病床が逼迫傾向にある。旧東ドイツ地域を中心にワクチン接種に懐疑的な国民も少なくなく、2回接種を終えた人口の割合は69%と、西欧諸国の中では低い部類に属する。

連邦議会選挙後の暫定政権を率いたメルケル首相は先月18日、医療体制が逼迫している地域を対象に、公共施設や飲食店の利用を接種完了者やコロナ感染から最近回復した人に限定し、ワクチン未接種者には陰性証明の提示を求める措置を開始した。今月2日にはワクチン未接種者への規制を強化し、生活必需品を除くほぼすべての施設への立ち入りを禁止することを発表した。

コロナ危機対応の保健相には反発も

こうしたなかでコロナ危機対応を引き継ぐ新政権は、ワクチン接種の義務化や危機対応を一段と強化する可能性を示唆している。ショルツ首相は新政権の保健相に、SPD所属の連邦議会議員であるラウターバッハ氏を任命した。

ラウターバッハ氏は政府の医療制度改革の評議会メンバーなどを歴任した疫学者で、コロナの感染拡大以来、ドイツの主要メディアにたびたび登場し、厳しい感染予防策を訴えてきた人物だ。歯に衣着せぬ物言いで党内外に敵も多く、SPD内からも同氏の保健相就任に反対する声は少なくなかったとされる。感染予防の強化による経済活動の下振れや、危機対応を巡る政権内外の不協和音が高まる恐れがある。

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