「バイデンフレーション」がアメリカ民主党を直撃 中間選挙に向けて共和党が勢いに乗っている
先月、1ドルショップ(日本の100円ショップに相当)のチェーン店を全米で展開するダラーツリー(Dollar Tree)が、物価上昇を理由に大半の品を1ドルから1ドル25セントに値上げすることを発表した。ネット上では店名を「ダラー25ツリー」に改名すべきとの声も上がった。
身近でもインフレは感じられるようになってきた。近所で最安値のガソリンスタンドには連日、車が行列をなしている。筆者が住むワシントン近郊をはじめ都市部では公共交通機関を利用して通勤する人が多いが、アメリカでは内陸部に住んでいる人をはじめ大半の国民は車通勤のため、日々家計を直撃するガソリン価格上昇には神経質だ。
アメリカ労働省が12月10日に発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.8%。39年ぶりの高い数値を記録した。6カ月連続で5%を超え、今や連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長も認めたように「一過性」とは言えない。
アメリカ経済は新型コロナによる不況からの回復過程にあるが、インフレ懸念の強まりによってバイデン大統領そして民主党は政治面でこれまでにないほど、窮地に立っている。
国民はバイデン政権がインフレの主因と見ている
インフレの責任追及では、政権を握るバイデン大統領に批判の矛先が向いている。「バイデンフレーション(Bidenflation)」。「バイデン大統領」と「インフレーション」を関連付けた造語が共和党支持者の間で今日、広まっている。
インフレの要因は新型コロナであるとバイデン政権はこれまで主張してきた。今のところ日本は例外だが、欧州をはじめ先進国の多くでアメリカほどではないものの、物価上昇が起きているのは確かだ。
しかし、ポリティコ紙・モーニングコンサルト紙の共同世論調査(2021年11月13~15日)によると、62%のアメリカの有権者が国内のインフレについてバイデン政権の政策に責任があると述べ、大統領にはまったく責任がないとの回答は11%にすぎない。新型コロナのせい、とのバイデン政権の主張は説得力を持っていない。
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