日本企業が理解すべき「物流での競争が不毛」の訳 自前の物流が本当に他社との差別化になるのか

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ここでメーカーと納入先(自動車ディーラーや自動車用品量販店)の間に、物流プラットフォームを導入したらどうなるかを考えてみたい。

業界別プラットフォームの根本にある考え方は、各メーカーにとって運び先(顧客)は同じなので、一緒に運んだほうが効率的で無駄がない、というものだ。

メーカーはプラットフォームを通じて自動車用品量販店や自動車ディーラーから商品の発注を受けると、プラットフォームが管理する倉庫にある在庫からオンラインで発送の手配をする。その際、アルゴリズムによってトラック手配や積載、配送ルートの最適化が図られ、プラットフォームに参加するメーカー(自動車部品、バッテリー、タイヤ、カーナビなど)の商品は混載され、納入先に商品が運ばれていく。

この場合、プラットフォームを形成・運営するのは、商社や卸、物流会社などが想定される。

プラットフォーマーに物流企業がなる場合

物流会社がプラットフォーマーになる場合は、その会社が物流のアセットや機能を提供することになるが、商社や卸などがプラットフォーマーになる場合は、物流企業を含めたさまざまな企業と提携して、プラットフォームの機能(輸送、倉庫、受発注システム、在庫管理システム、コールセンターなど)を提供するエコシステムを形成する。

プラットフォームに機能提供者として参加してもらう物流会社には、アセット情報(トラックや倉庫の空き情報など)を公開してもらい、顧客からの発注情報、メーカー側の在庫情報などを活用して、倉庫の集約化や配送効率の最適化を図っていく。

プラットフォームを利用するメーカーにとっては、配送の共同化や受発注業務の効率化だけでもコスト削減のメリットを受けられるが、さらに一歩踏み込んで自社物流網の再編を含めた物流部門の抜本的改革に踏み込むと効果はより大きくなる。

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