日本企業が理解すべき「物流での競争が不毛」の訳 自前の物流が本当に他社との差別化になるのか

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改革の重点ポイントは、「出前一丁型」を前提に構築されている自社の物流体制の見直しだ。大手企業の場合、全国に販売会社や販売拠点、物流倉庫などを構えていることが多い。仮にそれを半減できたとしたら、コスト削減効果は絶大だ。

自動車用品のある大手企業で、プラットフォームの利用を前提に自社の販社や物流拠点を見直した場合、コスト削減効果がどの程度になるかをシミュレーションしてみたところ、従来、物流に費やしていたコストを少なくとも20%削減できることがわかった。金額にすると数十億円にのぼる。

市場が成熟化している業界においてこれだけ大きな利益を毎年捻出できるのは、企業にとって大きな魅力だ。

物流一元化によるコストダウンが進む

プラットフォーム側は、利用企業に対して、受発注システムの提供、在庫管理や配送手配の請負、決済機能などを提供するほか、リベート管理機能などを入れると、販社の手続き業務のコスト削減が進み、利用企業は物流体制を見直しやすくなるだろう。

『テクノロジー×プラットフォームで実現する 物流DX革命』(日経BP)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

当然、プラットフォーム側も取引ごとに手数料をとるが、基本的には「広く薄く」なので、プラットフォームを活用した物流一元化によるコストダウンのメリットのほうが圧倒的に大きい。

さらに、プラットフォームに参加するメーカーや小売店は、プラットフォームに蓄積される販売・在庫情報などを、AIを使って分析することにより、精度の高い売り上げ計画や需要予測などを生み出すための材料となる各種データを得られるようになる。

プラットフォームの利用企業がそれらのデータをもとにAIなどを活用して顧客の需要予測や各種の計画を作成し、プラットフォーム上の実績情報と対照しながら予実管理をしていけば、非常に無駄のない、超効率的なサプライチェーン・マネジメントが実現するだろう。

北川 寛樹 アクセンチュア 製造・流通本部 マネジング・ディレクター

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きたがわ・ひろき / Hiroki Kitagawa

日系、外資コンサルティング会社を経て、アクセンチュア参画。香港・中国7年、インドネシア3年の海外経験を通じ、様々な日系企業の海外進出、新規事業開拓コンサルティングを実施。また、アクセンチュアでは、サプライチェーン・コンサルティングに集中し、大手商社、消費財、物流企業、自動車部品サプライヤーなど、様々な業界の新規事業、トランスフォーメーションに携わる。最近では、物流を起点としたサプライチェーン改革や次世代物流プラットフォームの形成に関して、複数の大手企業と取り組んでいる。(写真:本人提供)

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