中国恒大債務再編は共産党が主導権の痛しかゆし 本土外の債権者は弁済順位が下位となる可能性

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中国の不動産開発大手、中国恒大集団は先週、債務再編の必要性をようやく認めた際、見直し計画を練るためオフショアの債権者と「積極的に話し合う」方針を示した。

だが、今後何が起きるのかに関して中国恒大と社債保有者が決められる余地はほとんどない公算が大きいのが実情だ。その権限を持っているのは同社が本社を置く広東省の当局を含めた中国共産党。今週発表された中国恒大の見直しを導くリスク管理委員会を支配するのは広東省からの当局者となる。

本土外の債権者にとっては中国政府の関与は痛しかゆしの面がある。中国恒大の制御不能な破綻という悪夢のシナリオ回避にはプラスに働く可能性がある一方、中国当局はオフショア債保有者を、住宅所有者や従業員、個人投資家、サプライヤー、中国の銀行を含めた優先順位リストの最下位近くにほぼ間違いなく置くことになるからだ。

国際的な投資家が中国恒大債の価値(その大半は額面1ドルに対して20セントを割り込んでいる)を見極める中で、直面する疑問を以下に幾つか挙げる。

中国政府はどのような役割を果たすのか

規制当局は中国恒大の救済に意欲がないことを明確にしているものの、現在は同社の経営に深く関与している。広東省は「正常な」業務を確保するため、中国恒大にチームを派遣すると先週発表。7人で構成される新たなリスク管理委には、広東省の国有企業や不良債権処理大手、中国信達資産管理の幹部らが入った。法律事務所出身者も1人入る一方、中国恒大からメンバー入りしたのは許家印会長を含めて2人にとどまった。

  

ブルームバーグ・エコノミクスの曲天石エコノミストは、「中国恒大の債務問題への対応や同社の財務ができるだけ長く持ちこたえられるような方法の模索に関して、広東省政府が主導的な役割を担っているようだ」と分析する。

オリエント・キャピタル・リサーチのマネジングディレクター、アンドルー・コリアー氏(香港在勤)は、広東省政府は中国恒大のプロジェクトを支援するため、幾分の資本を提供する可能性はあるが、恐らく「社債保有者の全てを含めて同社全体の救済には至らない」との見通しを示した。

前例はあるのか

ブルームバーグ・エコノミクスの曲氏は、中国当局が2019年に実施した包商銀行の公的管理で使われた原則を踏襲する可能性があると指摘する。社会の安定が優先され、必要なら機関投資家に損失負担を強いる「ベイルイン」が行使されるというものだ。中国恒大のケースに当てはめると、住宅購入者は全額保護された包商銀の預金者に相当するだろうと同氏はリポートで解説した。

独立系の戦略シンクタンク、アンバウンド・コンサルティングのホー・ジュン研究員は、工程表の候補として海航集団(HNAグループ)の再編例を挙げる。海航が本社を置く海南省は昨年2月、政府主導の作業グループを設けて同社を事実上管理下に置いた。それからほぼ1年後、海航は裁判所主導の再編に入った。

海航創業者の陳峰氏は今年9月に譚向東最高経営責任者(CEO)と共に具体的な容疑不明で拘束された。

原題:Evergrande Restructuring Leaves Bondholders at Mercy of Beijing(抜粋)

(第4段落以降を追加し更新します)

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著者:Bloomberg News

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