「億」貯める人が保険に入らない超合理的な理由 サラリーマン資産家は収支管理を徹底している

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公益財団法人生命保険文化センターが平成30(2018)年におこなった「生命保険に関する全国実態調査」という調査によると年間に払い込む保険料の平均金額は38万2000円だそうです。

つまり月額で3万円あまりを払い込んでいます。ところが、あるネット生保では男性の場合、30歳から10年間、保険金額が1000万円の生命保険に入れば保険料は月額1068円で済みます。つまり本当に必要な期間と金額を考えて保険に加入すれば今よりも月額3万円、年間では36万円を貯蓄や投資に回すことができるのです。

30歳から60歳までその金額を積み立てると元金だけで1080万円、年3%で運用できたとすれば、約1748万円になります(税・手数料は考慮なし)。

固定費を考え直すだけで3000万円近く貯まる

もちろん保険以外にも無駄はたくさんあります。クレジットカードのカードローンやリボ払いで支払う金利、会員になったものの利用していないスポーツクラブの会費、ほとんど使わないのに契約したままになっているスマホのオプションプラン等々。

まわりを見渡してみるとそういう無駄な支出が意外に多いことに気付くと思います。これらをやめてもほとんどストレスはありませんし、生活感にも変化はないでしょう。

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したがって、意識せずに支出しているもの、気が付いていない固定費の中に無駄がないかをもう一度考えるべきなのです。そしてこういう無駄をなくすことで月に1万〜2万円ぐらいのお金を捻出することは可能です。

仮に保険以外にあと2万円を投資に回すことができたとしたら、前述と同じ条件で計算すると元利合計は約2913万円になりますから、ほぼ3000万円近くになるでしょう。

サラリーマン資産家の人たちというのはこうやって無駄な支出を貯蓄や投資に回して資産作りをしているのです。

もちろん、投資にあたっては注意すべきことがたくさんありますので、何よりもまずは元になるお金を作ることが大切です。そのためにも収支管理、中でも支出管理というのはきわめて重要な課題であると言っていいのではないでしょうか。

前回:『普通の会社員なのに「億り人」共通する意外な習慣』

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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