「億」貯める人が保険に入らない超合理的な理由 サラリーマン資産家は収支管理を徹底している

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中には『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』の著者である穂高唯希さんのように、毎月の給料の2割で生活し、残りの8割のお金を投資につぎ込んでコツコツと続けていったという人もいます。穂高さんは節約というとなんだか暗いイメージがあるので「支出の最適化」という言葉を使っている、と書いてありますが、確かに本を読んでいると支出についてもきわめて合理的な考え方で、あまりケチケチ生活という印象はありません。

結局、支出を管理するというのは、欲しいものも我慢してケチケチするということではなく、「自分にとって最も価値のあることは何か」ということを真剣に考えて、その優先順位に沿って支出するということなのだと思います。その場合、自分のやりたいことや趣味に関することを削るとストレスがたまります。

ところが削ってもまったくストレスがなく、かつ実効性の高いという項目もいくつかあります。その代表的なものが「保険」です。

「億り人」が生命保険や医療保険に入らない理由

日本人は世界一保険が好きな国民と言われています。前節でもお話ししたように保険はとても大事なものではありますが、その目的は自分の蓄えでは到底まかなえないような巨額の出費が起きた場合のリスクに備えるものです。逆に言えば自分の蓄えでまかなえるのであれば保険に入る必要はないのです。

私の知り合いには何人もファイナンシャル・プランナーがいますが、彼らのところに相談に来る人の中には「なかなか貯蓄ができなくて困っている。どうすればいいだろうか?」と言う人が結構いるそうです。

ところが支出や家計の状況を見てみるとあまり必要のない保険に毎月5万円も6万円も払っているケースもかなりあると言います。これは明らかに本末転倒と言ってもいいでしょう。

実際にサラリーマンで資産を築いた人の多くは、自動車保険や火災保険には入っていても、生命保険や医療保険に入っているという人は、今まで取材した限りではほとんどいません。一時期、生命保険に入っていたことはあるが、それはごく限定的でなるべく保険料の安い掛け捨て保険にしたと言います。彼らは非常に合理的な考え方を持っていますから、ある人はこのように考えます。

「生命保険で言えば、われわれサラリーマンは全員厚生年金に入っているので自分がもし亡くなっても子どもが18歳になるまでは年間150万円程度の遺族年金が支給される。それにもしそうなったら、妻は働くことになるだろうから、その収入に毎月12万から13万円の遺族年金が上乗せされるのであれば生活には困らない。

ただ、すぐに働けるかどうかはわからないので、少なくとも3、4年分ぐらいの生活費がまかなえるようにするために遺族年金で足りない分は生命保険に入ればいい。生活費を年間400万円とすると足りない分は250万円なので、その4年分、1000万円も入っていれば十分だ。それで足りない分は自分の貯蓄や投資を使えばいい」

きわめて冷静で合理的な判断と言っていいのではないでしょうか。

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