ジェネリックが製薬界の想定超に伸びる理由 特許切れ新薬に頼る中堅メーカーに打撃
長期収載品への影響は製薬メーカーの規模を問わず同じだが、大手は海外事業の伸びでその穴を埋めている。直撃を受けているのは、国内主体で特に強力な長期収載品を持っている中堅だ。数量減もきついが、それ以外の影響もある。ジェネリック発売から5年後にジェネリックへの置き換え率が6割に満たない薬は、通常の薬価引き下げに加え1.5~2%の追加的な引き下げを薬価改定ごとに受けることになったのだ。
久光製薬が主力とする、消炎鎮痛貼付剤(モーラステープ)は市場シェア8割強。薬価改定で2%の追加的引き下げを受け、数量面でもジェネリックに侵食された。今第1四半期の売り上げは前年同期比約4%減。これを主因として久光単体の営業利益は前年同期比約3%の減益となった。「薬剤部、調剤薬局などもMR(医薬情報提供者)を回らせ、貼り心地を訴求する」と会社は言うが、通期計画に対する進捗率を見ると出だしの影響をカバーするのは難しそうだ。
持田製薬の屋台骨を支える高脂血症薬エパデールの落ち込みも業界を驚かせた。原料がいわしから抽出する油のため、その精製度合いによっては製品に影響が出る。よくあるジェネリックへの苦情は「におい」で、精製が不十分だと臭くて飲みにくい。
今回ばかりは勝手が違う
そのため、追加的薬価引き下げを受けるほどシェアは高く、これまで会社側の売り上げ計画は期初がだいたい慎重予想で終わってみると超過達成というのが定石だった。ところが、今期ばかりは勝手が違う。通期のエパデールは前期比10%減の計画なのに、第1四半期の対前年同期比減少率は10%を大きく上回っているもようだ。
久光製薬は売り上げが会社計画を下回っても、米国子会社の経費抑制で営業利益は計画を達成できそうだ。一方、そうした隠し球を持たない持田製薬は、増収減益(研究開発費増が理由)から売り上げ横ばい、減益幅拡大となる可能性が高い。
財政を考慮すればジェネリック普及促進が弱まることはない。長期収載品主体のメーカーは再編も含めて戦略の練り直しを迫られそうだ。
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