ノバルティスに続き、武田薬品でも不正が発覚 第三者機関による調査の結果が焦点に

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3月3日会見する武田薬品の首脳陣。中央が長谷川閑史社長(撮影:梅谷秀司)

世界第2位の医薬品メーカー、ノバルティスの降圧剤「ディオバン(一般名バルサルタン)」が脳卒中の発症抑制など血圧降下以外にどんな効能を持つかを調べた医師主導臨床試験において、ディオバンに有利となるデータ改ざんが行われ、その研究結果を利用した広告が薬事法の禁ずる誇大広告に当たるとして、ノバルティスが刑事告発されたことは記憶に新しい。

同じような事案が、国内最大の製薬メーカーである武田薬品工業の降圧剤「ブロプレス(一般名カンデサルタン)で発生していることが、報道を通じて明らかになった。

ブロプレスで誤ったデータを販促に使用

ブロプレスで指摘されているのは以下の点である。

① 京都大学EBM共同研究センターを中心に行われた医師主導臨床研究CASE-J(2000~2004年、心血管系障害発症抑制効果をアムロジピンと比較)に武田社員がWebデータシステム構築などを担当。同社員は研究終了後の2007年2月に同センターに移籍。武田は同センターに9年間で25億円を資金供与

② 2剤の心血管系障害累積発症率を比較したグラフが2つあることが判明。2006年の学会発表時のものと、2008年に米国専門誌に掲載された研究論文のもの。両者の違いは時間軸の長さで、学会版は48カ月、論文版は42カ月で、学会版は42カ月以後、それまで発症率でアムロジピン服用群よりも高かったブロプレス服用群が逆転して低下しているように見える

③ 論文が発表された2006年、武田はブロプレスが長期服用によって心疾患系障害発症で有利となるように見えるグラフを販促資材(製品パンフレット)に使い、ブロプレスを販売した

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