「GAFA+X」が名門大学と組んで起こす世界の変化 コロナ後において若い世代に託される期待

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そうやって値上げを実現できたのは“学生ローンというヘロイン”のおかげだとギャロウェイ氏。学生ローンによって一部の大学の財政は潤い、ほかの大学への支援を削減する口実を州政府に与えることになった。その結果、若者たちは膨大な額の借金を背負わされることになったわけだ。

本来、教育は格差を解消する装置として機能すべきものであるはずだ。しかし実際は、それがカースト制、特権を次世代に引き継がせる手段になってしまっているということである。

大学は、少数のとびぬけて優秀な子を大衆から招き入れ、あたかも実力主義を実践しているような顔をしている。だが実際の大学は富裕層の子弟であふれかえっている。卒業生の子弟優遇制度や高校間格差、あるいはカネを払わないと勉強を続けられないという現実があるからだ。(208ページより)

アメリカのトップ100の大学のうち38校(アイビーリーグ5校を含む)では、収入が上位1%に入る家庭の学生が、下位60%の家庭の学生よりも多いのだそうだ。その点を指摘するギャロウェイ氏は、アイビーリーグの学部課程は大学ではなく、投資家の子どもを教育するためのヘッジファンドだと表現しているが、納得できる話ではある。

だが、技術の進歩やエリート主義のリスクを鑑みれば、高等教育のそういったシステムがこれからも平穏に続いていくとは考えにくい。

しかも、そんな状況下にパンデミックが起こった。

パンデミックが大学教育にもたらしたもの

パンデミックの長期的な影響として、アメリカにおける大学教育のあり方が根本から変わるとギャロウェイ氏は予測している。うまく対処できれば、いまは一部の人に限られているキャリアの成功への道筋を多くの人に解放することができるだろうとも。

注目すべきは、今後の高等教育の変化の中心にあるべきものとしてのテクノロジーの可能性だ。たとえば、パンデミックによって「利用せざるをえなくなった」リモート技術の利用がそれである。

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