トー横キッズが歌舞伎町に居場所求める本当の訳 少年少女たちのリアルに開沼博が迫る【前編】

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(筆者撮影)

開沼:現状の男女比や人数、年齢層はどんな感じですか。

R君:女の子が7で、男が3といった感じですかね。年齢層は10代前半〜20代前半くらいで、メインは中高生です。人数は流動的なんですけど、毎日30〜40人はいます。体感ですけど、俺のようにカブキのホテルに長期滞在しているようなコアな人間は50人くらい、たまに“通い”でやってくる子も入れれば500人は余裕で超えるかなと。

開沼:昔の暴走族とか、1990年代のガン黒ギャルたちなんかは、上下関係がわりと厳格だったんだけど、トー横界隈はどうなんだろう。

R君:上下関係はまったくありません。古株だろうが新参者だろうが、年齢に関係なく全員タメ口だし、同じ「人種」だと感じたら絶対に排除するようなこともない。それが界隈の文化ですね。

開沼:ほう、それは面白い。とはいえ人が集まればヒエラルキーが生まれ、マウンティングを取り合ったり、いじめが始まったりするのが世の常。そんなことはないんでしょうか。

「フラットで緩く、思いやりにあふれた優しい空間」

R君:基本的にないですね。そもそもいじめに遭ったりして、上下関係とかになじめない人間の集まりなので。皆さんが思っている以上にフラットで緩く、思いやりにあふれた、優しい空間だと思います。

開沼:「素人を喰う玄人がうごめく怖い街」。これまでの歌舞伎町にはそんなイメージがこびりついていたわけだけど、そんな文脈では語れない「新種」と「異質な空間」がコロナ禍の歌舞伎町に突如として生まれた、ということですかね。

R君:そう言われると「っぽく」聞こえますけど、実際はただ路上にたむろって、ストロング缶片手にたばこ吸って、たまにドラッグと言っても、せいぜいエスエスブロン錠をキメて仲間同士で他愛もない話をしているだけの、平和な場なんですけどね(笑)」

<後編に続く(12月10日公開予定)>

※後編では、少年少女たちの暮らしぶりや、未成年売春の実態、トー横界隈の背後にある「#病み垢」という現代の闇に迫る。
根本 直樹 ライター

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ねもと・なおき  / Naoki Nemoto

1967年生まれ。立教大学文学部仏文科中退。その後『週刊宝石』記者を経てフリーに。主に暴力団や半グレなどアンダーグラウンド分野の取材・執筆活動を続けている。

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