まゆみ(29歳、仮名)が入会面談にやってきたのは、5月末のことだった。
「7月には、30歳になります。あと1カ月ちょっとです。できれば30歳の年で結婚したいと思っています。職場にも独身男性はいますが、社内恋愛はリスクが大きい。それにダメになったときに、働きづらくなる。仕事とプライベートをきっちり分けたいので、できれば社外で結婚相手を見つけたいんです」
まゆみは有名私大を卒業し、大手企業に勤めていた。男性と肩を並べて働き、年収が500万ちょっと。これからも仕事のキャリアを積んで年収も上げていきたいと考えていた。
ただ、自身に恋愛経験がないことを懸念していた。
「中高は女子校。大学は共学でしたが、女友達とばかり遊んでいたので、男性と付き合った経験がないんです。それで、数カ月前から婚活アプリに登録してみたんですが、数名とマッチングして会ったものの、何度か食事に行っても私の気持ちが動かなかった。結婚につながる出会いがなかったので、結婚相談所で本格的に活動をしてみたいと思いました。仲人見立てで、私は結婚できるでしょうか?」
そこで、私はこんな話をした。
「結婚相談所においては、20代から31歳ぐらいまでの女性は、大抵の方が結婚していきますよ」
30歳と40歳の婚活、難しさが全然違う
それは、なぜなのか。まず、選ぶ対象となる男性の人数が圧倒的に多いことにある。女性が20代だと、10歳上の男性を結婚相手に選ぶのも抵抗がない。また、若いうちはしっかり働いていれば、同世代の男女の年収差にそれほど大きな開きがない。
ところが、10年後はどうだろうか。
まゆみが順調にキャリアを積んで40歳になったら、おそらく年収は800万円から1000万円くらいになる。そこから婚活を始めて、希望男性を、自分の年収に近いかそれ以上稼いでいる人、歳はなるべく近い人としたら、候補者が俄然少なくなる。
また先にも記したが、そうした高年収のアラフォー男性は、40歳の女性を結婚相手に見ない。なぜなら、35歳前の女性といくらでも見合いが組めるからだ。
「だから、まゆみさんのようにキャリアを積んでいきたい女性ほど、結婚は30歳前後でしたほうがいいんです。今婚活に本腰を入れることは、賢い選択だと思いますよ」
こうして、まゆみの婚活はスタートした。
サイトに登録すると、見合いはいくらでも組めた。7月8月は毎週末お見合いをし、断ったり断られたりするなかで、2人の男性と付き合うことになった。1人は2つ年下のあきひろ(仮名)、もう1人は同い歳のゆうや(仮名)だ。
同時並行で2人と食事デートを繰り返していたようだったが、1カ月半が経った頃に、あきひろの相談室から、真剣交際の打診が来た。そのことを伝えると、まゆみは言った。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら