コロナ禍の中「遠距離のまま結婚」した2人の本音 30代後半の2人は、こうして結婚を決断した

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関東出身の美樹さんは任期付きの教員であり、3姉妹の長女。現在の職場での任期は今年度で終わるので、今の土地を離れ、「親に何かあったら駆けつけられる」エリアで暮らしたいと思っていた。

「今は転職活動をしながら大学院に通い直すことも検討しています。私は研究者よりも現場で働くことが向いている気がするからです」

美樹さんが就きたいのは今までの研究成果も生かしながら働ける職種だ。しかし、そのためには新たに国家資格を得る必要がある。

「美樹さんには好きなようにしてほしいです。私の給料は高くありませんが、なんとか暮らせるでしょう。都内に家も買ってしまいましたし。早く一緒に住みたいですね!」

ビールから焼酎に移行し、新妻への愛があふれ出てしまっている進さん。この人にはもうインタビューできなさそうだ。ほろ酔いながらもきちんと受け答えをしてくれる美樹さんに結婚に至るまでの話を聞こう。

メールは毎日、3時間のZoomも

「メールは毎日のように書いていました。休日の過ごし方など、何でもないような内容です。でも、進さんのことを徐々に知ることができました。私は文章をしっかりと書きたいほうなので、婚活をしてマッチングしてもメールを面倒臭がる人とは続かない傾向がありました。進さんの文章は丁寧でしっかりとした内容で好きだな、と思っていたんです。返事に困らないような内容だったのもよかったです」

長めの文章を書くことが苦にならない同士、メール文通でなじんだ後、美樹さんと進さんは週1ペースでZoomでも会話するようになった。気づくと3時間ほど経っていたこともあったという。

その数週間後、首都圏の実家に美樹さんが帰省をするタイミングを利用して2人は初デートをした。すっかり舞い上がっていた進さんは真剣交際をしたい旨を伝えた。もちろん、想いを押し付けない程度に、だ。

「さすがに早いと思ったので返事は保留させてもらいました。一緒にいるのは楽しかったけれど、結婚相手として見るほどには進さんのことを知らないと思ったからです」

オンラインで知り合ってから2カ月足らず。しかも初デートなのだから当然だろう。ただし、婚活における「仮交際」の時期はお互いに他の異性とも会って比較できるのが暗黙のルールとなっている。真剣交際への返事を渋っているうちに早めに結婚したい相手の気持ちが別の人に移ってしまいかねない。

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