積極的な課題挑戦が自分を成長させる近道--『私は変わった 変わるように努力したのだ』を書いた福原義春氏(資生堂名誉会長)に聞く
経済界屈指の読書家であり、趣味人でもある著者が、80冊近い著作から抜き出した「箴言集」を刊行した。同氏が感じ、考え、学び、そして行動し、発信してきたこととは。
--17世紀フランスのモラリスト、ラ・ロシュフーコー流の「箴言集」ですか。
ロシュフーコーの『箴言と考察』は愛読書だが、それに張り合うなどといった大それたことではない。端的なフレーズもあるし、割合長い一文もある。長短あるのがいいとおっしゃる方もいる。
普通だと、それぞれの言葉のヨコになぜこういうことを言ったか、説明文がつく。それを一切やらない。そのほうが、読みやすいし、文意をそれぞれで考えていただける。全体で一編の長編詩のような感じもするかもしれない。
--ご自身の体験を客観的に見る習慣があるようです。
世の中に立派な仕事をしたり、修羅場をくぐった人はたくさんいる。ただ、その体験を書く際、とかくただの体験記録になりがちだ。僕の場合は、経験したことを客観的に自らながめ直し、厳しく見つめる。
--この本の一文「いつも自分の斜め上あたりから、自分を厳しく見つめる視点をもつ」という姿勢ですか。
その「斜め上」とは、学生のころ部活でカメラクラブにいて教わった。人の肖像を撮るなら、基本はレンブラント・ライトだと。90度、90度、それに斜め45度上からくる光があって立体感が出る。そのライティング的思考がしみ込んでいる。すべてにレンブラント・ライトを当てて見ようと。対象が浮き彫りになり、物事がはっきり見えてくる。