宇宙食に「ウナギの蒲焼き」長野の老舗が挑む理由 過酷な宇宙飛行士の生活に必要な「心の栄養」

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(写真:観光荘提供)

2021年は宇宙がグンと身近に感じられる1年となった。夏にはアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が、自身が保有する宇宙開発企業「ブルー・オリジン」の初の有人飛行に搭乗し、最高高度約100㎞まで到達した。9月になるとテスラのイーロン・マスクCEOが率いる米スペースXが打ち上げた宇宙船「クールドラゴン」に民間人4人が乗り込み、高度約585㎞に到達したあと地球を周回した。

日本では、実業家の前澤友作氏が12月に、31年ぶりの日本人民間人宇宙飛行士として宇宙に飛び立つ。この計画にはニッポン放送も参画し、「前澤友作×オールナイトニッポン 宇宙プロジェクト」という企画を実施し、宇宙滞在中にラジオ出演するという。

ユーリ・ガガーリン(旧ソ連)の世界初の有人宇宙飛行(1961年)から60年。超富裕者など一握りの限られた対象者にとどまるが、宇宙ツーリズムのハードルが民間人レベルにまで下がってきた。「宇宙ツーリズム元年」と言えるような時代になってきたのである。

「宇宙空間でうなぎを」

そんな憧れの宇宙空間にうなぎのかば焼きを宇宙食として送り届けようと挑んでいる男がいる。長野県岡谷市の44歳の飲食企業経営者・宮澤健氏(以下敬称略)である。なぜ、うなぎを宇宙食に。その理由を聞くため、寒うなぎで知られる岡谷市に足を運んだ。

宇宙日本食認証に挑む宮澤氏(写真:筆者撮影)

JR中央本線の岡谷駅から車で10分ほどいった天竜川のほとりに、宮澤が経営するうなぎ料理店「観光荘」がある。経営母体は有限会社観光荘(年商約6億円、従業員55人、直営店2店舗)。創業は1954年(昭和29)で、この地(岡谷市川岸)で67年の歴史を刻んできた。

地元の高校を卒業後、上京して調理専門学校で学んだ宮澤は都内の7つの形態の異なる飲食店で研鑽し、2004年にふるさとに帰った。一社員として観光荘に入社後、経営改革に取り組み、07年に取締役、19年に代表取締役社長に就任した。

次ページきっかけは「極地食」への興味
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