「結婚で姓を変更」どれだけ面倒か知っていますか 実体験でわかった選択的夫婦別姓が望まれる事情

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身分証明に使われるマイナンバーカード、運転免許証などと同様、重要なのが銀行の預金口座の扱いだ。電気ガス水道料金、新聞購読料やNHK受信料、携帯電話の通話料、マンションの管理費、生命保険の支払い、事務所の使用料、仕事関係の団体の会員費、スポーツジムの会員費などあらゆる支払いが口座から引き落とされる。

銀行振り込みの際にも、支払先にこちらの口座名が示される。支払いではなく、お金を受け取る場合も今は100%銀行振り込みである。

口座名が変わった場合、あまたある支払先に口座名の変更を知らせたとしても、引き落としの時期がバラバラなため、支払先によっては料金が引き落とされないトラブルが起こるのは必至だ。こうしたことから、銀行口座をそのままにしている人も多いようだ。しかしインターネット上には、改姓の手続きをしないと不利益があるなどの説明もある。

銀行口座事情は現在、どうなっているのか。全国銀行協会は2017年7月と2019年12月の2回にわたり、政府から「銀行口座などの旧姓使用に関する協力要請」があったことを全国約190の会員銀行に伝えた。しかし、金融機関によって事情が異なり、対応はそれぞれに聞いてほしいという。

3メガバンクのHPに旧姓使用の説明見当たらず

数多い銀行それぞれに問い合わせることはできない。とりあえず、3メガバンクはどのように対応しているのか。ホームページを探し回ったが、旧姓使用についての説明を見つけることはできなかった。三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行それぞれの広報担当に対し、個人の預金口座取引について2つの質問を送り、回答してもらった。

質問1:口座を持っている個人客から、「結婚して姓が変わったが、仕事上旧姓使用を続けているので、銀行口座は旧姓のままにしたい」と相談を受けた時、どのように対応されていますか。

質問2:新規に口座を開設したい個人客から、「結婚して姓が変わったが、仕事上旧姓を使用しているので、旧姓で口座を持ちたい」と相談を受けた時、どのように対応されていますか。

これに対し、3行からの回答は、「個人客から希望があった場合、運転免許証やマイナンバーカードなど新旧の姓がわかる書類を提示または提出してもらうなどの手続きを経て口座名義を旧姓名義のままご利用いただいている」というものだった。「お客様の利便性を考えて」の措置という。新規に口座を旧姓名義で開きたいとの要望があった場合にも、同様に受け付けているという。

しかし、私が実際に手続きをした際には、本店支店の窓口がこのポリシーを知らないこともあった。また、旧姓名義を使えるのは預金口座のみで、投資信託口座はそうはいかない。同じ銀行に旧姓名義の預金口座と戸籍上の名前の投資信託口座の両方を持つことはできないと言われ、私はNISA口座を解約した。

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