JR九州の客室乗務員は本当に不要なのか 10月から一部列車で車内販売を取りやめ
一方、「ゆふいんの森」や「あそぼーい!」など観光列車の車内販売は継続される。JR九州の観光列車はいずれも大人気で、車内販売でもお弁当やグッズが飛ぶように売れている。継続されるのは当然だろう。
今後の焦点となるのは、「ソニック」(博多―大分間)、「かもめ」(博多―長崎間)など九州の主要都市を結ぶ特急列車の車内販売の行方だ。
一部には、「観光列車を除くすべての特急列車で客室乗務員廃止を検討している」という見方もある。この点について、JR九州は「今後については利用状況に応じて、その都度、判断していく」(広報部)と回答するにとどめている。
株式上場の“奥の手”
JR九州が車内販売の廃止に動き出した背景に、2016年度を目標とする株式上場があるのは間違いない。同社の鉄道事業は赤字続き。不動産などの多角化事業によって、何とか営業黒字を維持している状態だ。鉄道事業の収益改善は最も重要な課題。あらゆる観点からコストの見直しを行っており、採算が取れない列車での客室乗務員の廃止はやむをえないという見方もできる。
ただ、JR九州はほかの鉄道会社とは事情が異なる。九州は「バス王国」といわれるほど高速バス網が充実しており、高速バスと鉄道は激しくシェアを争っている。
それだけに「わざわざ鉄道に乗りたいと思ってもらえるだけの車両とサービスが必要」と、唐池恒二会長(当時社長)は3年前のインタビューで語っている。それを具現化したのが、看板列車「ななつ星in九州」を頂点とする観光列車や都市間特急列車なのである。
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