大谷だけじゃない!パラ選手「夏冬二刀流」の凄み まるで別物のスキーと陸上に村岡桃佳が挑戦

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話を聞きながら、大谷がなぜあんなに楽しそうにプレーをしているのか、何となくわかるような気がした。投手と打者の“二刀流”だからではないか。選択肢が増えれば、夢も広がるし、楽しみも増す。1つの役割だけに集中していたときには見えなかったものだって見えてくる。いい意味で気分転換にもなり、新鮮な気持ちで競技に臨むことができるのではないか。

「楽しむ」というスポーツ本来の姿

かつてアスリートの“二刀流”は珍しくなかった。1928年アムステルダム五輪の陸上男子3段跳びで日本人初の金メダリストになった織田幹雄は、走り幅跳びや走り高跳びでも日本記録を樹立している。

それがスポーツがビジネスとして成立するようになり、結果が求められて専門化・分業化が進んだ。肉体的な負担が大きくて何より効率的ではない“二刀流”は敬遠されるようになった。それは「楽しむ」というスポーツ本来の姿から懸け離れてはいまいか。

古い資料を調べると夏冬両五輪で金メダルを獲得しているつわものがいた。エディー・イーガン(米国)。1920年アントワープ夏季大会でボクシング・ライトヘビー級を制し、1932年レークプラシッド冬季大会のボブスレー(4人乗り)でも優勝している。ハーバード大やオックスフォード大で法律を学んだ彼は、引退後に弁護士になった。

さすがに今の時代は無理だよなと一瞬思ったが、すぐに思い直した。100年前のベーブ・ルースの再来と呼ばれる大谷の偉業が頭をよぎったからだ。人間の可能性は私たちが思っているよりもはるかに大きいのだ。二刀流、三刀流のトップアスリートが珍しくない時代が、またやってくるような予感がする。

(取材・文/首藤正徳)

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