経験者が激白!流行する「ギグワーク」過酷な末路 若者たちはどうしてのめり込んでしまうのか

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この男性のように個人事業主、フリーランスなどと呼ばれ、請負や委託の契約による「個人請負」で働く人は近年急増しており、全就業者の5%~7%にあたると言われている。

その業種は多種多様だが、上記のようなインターネットのプラットフォームを介してやり取りされる単発仕事の「ギグワーク」はその典型だ。コロナ禍の中で目下活況を呈している「ウーバーイーツ」はギグワークの代表例といえる。

単発の仕事といっても、上記の男性のようにほぼ1社専属で働いている人も少なくないが、個人事業主という建付け上、労働基準法などの労働法規はいっさい適用されない。男性が労基法の適用される労働者だったら、仮に上記のようなツイートを理由に解雇されても、裁判上で争えば解雇権の濫用と認定されるだろうが、個人請負だとそうした保護もない。

保護がないばかりか、男性はランキングを上げるために、プラットフォーム会社が行うセミナーにお金を払って参加していた。個人請負からセミナーや研修と称して、金銭を徴収する業界はほかにもある。

声を上げたら、担当クラスを打ち切られた

「お金を払った者にだけ仕事を与える制度はおかしいと声を上げたら、担当クラスを打ち切られました」

大手のヨガスタジオでインストラクターとして働く女性はそう話す。同社で働くインストラクターの多くは個人請負だが、ある時から彼女らに対しても同社の有料講習制度や有料認定制度を強制するようになった。

「従来どおりの仕事を続けたかったら、会社にお金を払ってね、ということです」(女性)

これに反発したインストラクターたちは、契約上では個人請負だが、実態は一年契約を継続的に更新し、時間や場所、マニュアル等での指揮命令も受けており労働者に当たるとして、労組を結成し団体交渉を行ってきた。

そんな中、コロナ禍を理由として、複数の労組役員のクラスが一方的に打ち切られた。

「個人請負だから金銭を徴収される一方で、補償もされずに仕事を切られるような理不尽が許されるのでしょうか」(女性)

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