「魚民」もつ鍋の虫混入が世間に与えた本当の怖さ 部外者に見える人たちにとっても他人事じゃない
まだ「もう『魚民』に行かないかもしれない」「モンテローザグループの店に行かなくなるかもしれない」なら自業自得で済みますが、悪影響はそれだけにとどまりません。たとえば、もつ鍋を提供する店の売り上げが減るかもしれないし、さらに別会社が運営する「和民」にも「名前が似ている」というだけで、何らかの影響が出ても不思議ではないのです。
もっと広げると、鍋料理全体や、鍋付きのコースの売り上げ。ひいては、コロナ感染への不安が完全に消えたわけではない今、「飲み会をやめて家飲みにしよう」「忘年会自体やめよう」という発想に至ってもおかしくはありません。また、一部再開されたGo To Eatへの影響も少なからず考えられます。
そんな悪影響を危惧してしまう最大の理由は、虫の浮いたもつ鍋の画像がネット上のさまざまな箇所にアップされているから。正直、見るつもりはなかった筆者も、その画像に出くわしてしまい、「しばらく鍋はやめようかな……」と感じてしまいました。さらに怖いのは画像が拡散された結果、「鍋料理だけでなく、虫混入の原因にされている白菜の売り上げダウンにもつながりかねない」ことです。
当然ながら白菜農家に非はないでしょうが、今回の騒動が間接的な被害者になってしまう可能性が大。消費者たちは「悪いのは洗浄を怠った店のスタッフ」と思いつつも、つい別の食材を選んでしまう。あるいは白菜を購入したとしても、これまで以上に虫が入っていないか念入りに確認してしまうなどの変化が推察されます。
多くの人々に疑念を抱かせた店の対応
もう1つ怖さを感じさせるのは、前述したように「店から運営本部への報告がなかった」「代替サービスや割引が提案された」こと。この2点は当人たちだけでなく多くの人々に、「これまでも似た苦情があり、何事もなかったようにやり過ごしてきたのではないか」という疑念を抱かせてしまいました。これは虫混入と同等レベルの大きなミスと言えるでしょう。
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