GR86とBRZがバイオ燃料使用レースで競う意味 トヨタとSUBARUがST-Qに別々のエンジンで参戦

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実はこの話は、豊田章男社長が2022年の参戦体制について話している中でサプライズ的に明かされたもので、のちに佐藤氏に確認して、その概要が明らかになったのだが、現在のラインナップにはない1.4Lターボエンジンとは、実はGRヤリスが積んでいる1.6Lターボエンジンをベースに排気量を縮小したものだという。

豊田章男社長は、あくまで個人的な意見としてと前置きしながら「86のイメージって小気味良くキュンキュン走る感じなんです。あまり大排気量という道ではなく、小排気量で行くというイメージを持っていました。」と話していた。2.4ℓとなった新型GR86の走りもその方向で安心しているというが、ここで違った道を探っておきたいと感じたのだろう。

ではなぜGRヤリス用エンジンをそのまま積むのではなく1.4ℓにしたのか。佐藤氏によれば「(レース用車両規則の)ターボ係数である1.7を掛けて、2.4Lに相当する排気量ということで1.4Lです」とのこと。トヨタの、いわゆるダウンサイジングターボエンジンと、スバルの自然吸気エンジンの戦いという側面も、このプロジェクトには含まれていたわけだ。

排気量は小さくても性能上はターボのほうが有利になりそうだが、ここはスタート時のベースとなるスペックを合わせておいて、その後に両社が基本、独自に技術開発を行い、切磋琢磨していくかたちになるという。

レース参戦で培われる人材育成

「競争すると技術って伸びるじゃないですか。ですから協調するところは協調しますけれども、手の内はなるべく見せないように、知恵を使っていきたい」と言って笑うのは、スバルの藤貫哲郎執行役員CTO(最高技術責任者)。ST-Qというカテゴリーで先行開発車両を走らせることの意義は、まさにそこにある。「モノづくりのとくに先行開発では、人材を育てていくことが非常に重要になります。これはもうエンジニア育成のためです。人材はそう簡単には育ちません」という。

数年ごとにモデルチェンジが行われる量産車と違って、レースの世界は競合が自分たちより勝(まさ)っていたら、次戦までに、いやそれどころかレースウィークのうちに可能な限りの改良を行う必要がある。しかも成果はタイムや順位などの結果として明確に表れるだけに、非常に迅速な開発が行われることになる。それが人材育成に大きな効果を発揮するという。

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