「自己肯定感の低い人」が結構している陰湿な攻撃 妻のために引っ越すことになった夫の仕返し

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「受動的攻撃」とは、相手に自分の意志をはっきりと伝えずに、大なり小なりのサボタージュをすることで、相手に身を任せるのを拒むことをいいます。要は、期待されていることをきちんと行わないのです。約束してもその約束を覚えておかないようにしたり、簡単に破ったり、あるいはじれったいほどゆっくりと実行したりします。

また、典型的な「受動的攻撃」として、いわゆる「壁をつくる」という行動をしめすこともあります。相手をその壁にぶつからせることで、相手の懇願や嘆願を受けつけないようにするのです。こうした人は、自分が相手にそのような障害を作っているにもかかわらず、心の中では「私が妥協しなければいけないことが多過ぎる」と思っています。そのため、相手が多少苦労することは当然だと思っています。

性的な関係がなくなる夫婦にありがちなこと

私のクライアントの1人を例に挙げてみましょう。彼は、自分の故郷にずっと住んでいたかったのですが、妻のために仕方なく引っ越すことになりました。これにより彼は潜在意識下で妻をうらみ、それ以降、妻と性行為をする気になれなくなってしまいました。

性的意欲をなくすことは、受動的攻撃として男女関係なく、よく使われる手段です。このちょっとした例からも、「自分の決断に対して責任を負う」ことが、ひとりの自立した人間として、いかに重要であるのかがわかると思います。

このクライアントは、自分のことを「妻に支配されている被害者」だと潜在意識下で思っていますが、実際には自ら進んで自分の願望(引っ越さずにいたいという願望)を抑えたのですが、彼はそうした自分を理解していません。ワガママな妻に合わせている可哀そうな夫だと思っています。

頑固な性質は、受動的攻撃と密接に関係しています。自分の思うことを妥協せずかたくなに実行する人は、相手に無力感を抱かせるといった強力な攻撃を仕掛けていることになるのです。

もちろん、能動的に攻撃を仕掛ける人も相手を怒らせますが、少なくとも自分がそうしていると自覚しており、その点では自分の行動に責任を持っているといえます。これに対して、受動的攻撃者は、隠れ蓑を着て攻撃しているようなもの。

たとえば夫婦の話し合いで、妻が夫に対して強情な態度を示したら、夫はその態度にかっときて、やり場のない怒りでこぶしを振り回すでしょう。すると、最終的にはこの夫が〝悪い人〟になってしまいます。

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