村田製作所、過去最大M&Aの成否 "にじみ出し"戦略で米社を買収
8月23日に米国のペレグリン・セミコンダクター社を買収すると発表した村田製作所。買収額は約490億円と同社にとって過去最大規模。買収は10~12月に完了する予定だ。
村田と言えば、積層セラミックコンデンサーや表面波(SAW)フィルターといったスマートフォン部品の世界最大手。一方のペレグリン社は、スマホのアンテナ周りの部品である高周波(RF)スイッチの大手で、同製品を村田に大量供給している。
「高周波タイプの部品を内製してモジュール化すれば、利益率も上がるし、(村田にとっては)技術のトレンドもわかる。買収のメリットは大きい」と、大和証券の佐渡拓実チーフアナリストは今回の買収を評価する。
止まらないモジュール化の流れ
そもそもペレグリン社が手掛けるRFスイッチも、村田がシェアトップを誇るSAWフィルターも、スマホで電波を送受信するためのアンテナ周りの部品。アンテナ周りは、業界ではフロントエンド部分と呼ばれ、そこには受信した電波をデジタル信号に変換するスイッチ、増幅装置であるパワーアンプ、電波から必要な周波数だけを取り出すSAWフィルターという、大きく3つの部品がある。
村田は従来からSAWフィルターを手掛けており、今や同製品の世界最大手。一方、高速無線通信規格LTEの普及などにより、「アンテナ周りの部品は複雑化しており、小型・軽量化が不可欠になっている」(佐渡氏)。そこで部品を組み合わせ、モジュールとして提供することで、顧客の小型化・軽量化のニーズに応えようとする流れが強まっている。
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