危機はまだ去らず、シャープが抱える課題 中期計画1年目の目標はクリアしたが…
「中期計画の初年度は公表数字に達したが、今は新たにリセットしているところ。今年度はゼロからのスタートの気持ちで向かう」。シャープの高橋興三社長は気を引き締めた。
同社は5月12日に前2014年3月期の決算を発表した。売上高は2兆9271億円、営業利益1085億円、当期純利益115億円。3年ぶりに黒字転換を果たした。
前々期は5453億円の最終赤字を計上し、自己資本比率も6.0%まで低下。経営危機に陥ったシャープにとって、前期は再建をかけて策定した中期経営計画の1年目。最終黒字を達成することが銀行支援の最低条件だったが、クリアした。
液晶、太陽電池が回復
業績改善に大きく寄与したのは、三つの事業分野だ。
一つは主力の液晶事業。赤字の要因となった液晶パネルの堺工場が、台湾・鴻海グループの出資によって連結から外れたことや減価償却費の減少、さらに中国の新興スマートフォンメーカー向けへの受注開拓などが奏功し、部門損益は前々期の約1400億円の赤字から、前期は415億円の黒字へ急浮上した。
二つ目は太陽電池事業。国内での固定価格買い取り制度の導入、消費増税前の住宅の駆け込み需要などの追い風もあり、前々期の44億円の赤字から、前期は324億円の黒字へ転換した。
三つ目は液晶テレビなどのデジタル情報家電事業だ。中国など新興国で液晶テレビが伸びたことが奏功し、128億円の黒字で着地。前々期の約100億円の赤字から大幅改善を果たした。
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