シャープの反省、「僕らはIGZOを過信した」 危機から1年余り、浮上の糸口を掴めるか
経営危機から1年あまりを経過した今、シャープ経営陣は危機に至るまでの無策について、猛烈に反省している。その意識革命を活写した週刊東洋経済4月19日号<14日発売>特集「シャープの反省」と合わせて読んでいただきたいのが、この記事。デバイス製造の拠点である亀山工場ではなぜ急速に意識改革が進んだのだろうか。
業績改善は事業改革の成果
「経営危機の反省をひと言で言えば、“大きなところ”しか見ていなかったということだ」――シャープのデバイス(液晶を含む電子部品)部門を率いる方志教和(ほうし・のりかず)専務はそう振り返った。
2011~12年度に巨額の最終赤字に沈み、経営危機に直面したシャープ。13年度業績は3期ぶり最終黒字化の見込みと、ようやく底を打ったが、前期の3000人規模の大リストラに加え、為替や太陽電池の政策効果など、環境面での押し上げ効果も大きく、「どこまで本物の回復か」という声も聞こえていた。
しかし13年度、シャープは経営危機の反省を踏まえ、事業面での改革に躍起になっていた。業績改善は、危機を繰り返さないようにと実施した事業改革の成果といえる。
象徴的なのが“液晶頼み”からの脱皮だ。「シャープの強みは、液晶だけでなく、センサー部品の品ぞろえにある。医療、セキュリティなどいろんな分野のインターフェイスの部分には、必ずセンサーが使われる。液晶ディスプレーが情報の出口だとしたら、センサーは情報の入り口。うちはその両方を網羅する形で持っている、唯一の会社だ」(方志氏)。
シャープは、高精細CMOSセンサーを使ったスマートフォン用のカメラモジュールで世界トップシェア。目指したのは、これら強みのあるセンサーに加え、さまざまな電子部品と液晶とを併せて売る「クロスセル」の推進だった。
「中国での(電子部品の)伸びは、クロスセルの影響がかなりある。特にスマートフォンは展開が早く、液晶パネルの伸びとともに、電子部品が伸びた。今後この動きは車載やパソコン向けなどに広がっていくはずだ」(シャープ・デバイスビジネス戦略室の梅本常明室長)。
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