村田製作所、過去最大M&Aの成否

"にじみ出し"戦略で米社を買収

実際、村田はモジュール化の流れに合わせ、11年にルネサスエレクトロニクスからパワーアンプ事業を買収。今回、ペレグリン社のRFスイッチを手に入れることで、アンテナ周りの3部品をそろえ、同分野を一貫生産・提供できる体制を整えられた。これにより、「製品のポートフォリオを強化でき、顧客からの要求にスピーディに対応できる」(同社)。

 覇権争いで進む業界再編

ただ同様の買収はライバルも仕掛けている。今春、スイッチを開発する米スカイワークスソリューションズが、パナソニックからSAWフィルター事業を買収したほか、米RFマイクロ・デバイセズも同業のトライクイント・セミコンダクターと合併するなど、スマホのアンテナ周りだけを見ても、覇権争いのための業界再編が進んでいる。

「電子部品の世界はテクノロジーの進化によって、今後必要が増す部品もあれば、なくなっていく部品もある」と、大和証券の佐渡氏は指摘する。

製品領域をむやみに広げればいいわけではなく、当然ながら、どの部品が今後も必要とされるのか、技術の進化を見据えた買収の判断が不可欠となる。村田製作所はかねて、"にじみ出す"と表現するように、自社の技術から近い領域にじわじわと領域を広げることで、取り扱う製品分野を拡大する際のリスクを低減してきた。今回もSAWフィルターという圧倒的強みを持つ部品から、周辺部品へと"にじみ出す″買収戦略で、スマホに加えウエアラブル端末など、さらに小型化・軽量化が進むであろうアンテナ周りの部品強化につなげる狙いがあるとみられる。

これまでも技術進化のロードマップを自ら描いてきた村田製作所。その過去最大のM&Aの手応えは、村田がいちばんよく知っているはずである。

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