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日本人が知らない「バクラヴァ」銀座に登場した訳 従来菓子にない斬新さ「中東菓子」の魅力とは

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  • 池滝 和秀 ジャーナリスト、中東料理研究家
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バターをフィロに塗って作るやり方もあるようだが、この講師の作り方は、まるでバターで揚げるような手法だった。オーブンを加熱している途中でトレーを取り出して、傾けて余分なバターを取り除き、さらに焼いていく。薄茶色に焦げ目がついたら出来上がりだ。

途中でオーブンの中をのぞいてびっくりした。まさに揚げ物のようにシュワシュワとフィロが焼かれていた。サクサクとしたバクラヴァの食感は、こんな作り方に秘訣があったのだ。仕上げに、砂糖や水、レモン水などを煮詰めたシロップをかけて完成だ。

このようなバクラヴァのほか、カダイフと呼ばれる極細の縮れ麺でロール状に粒のままのピスタチオを包み込んで焼き上げたバージョンなど、形や色、使うナッツの種類が多様なのもバクラヴァの魅力。内戦の取材でシリアを何度も訪れたが、実はシリアは知る人ぞ知る中東のお菓子の本場。戦争という悲惨な取材の合間に食べた本場の味わいは忘れがたいものがあった。

ピスタチオ輸入の増加も背景

ピスタチオの鮮やかな緑は、バクラヴァでも主役の扱い。ただ、現地でもピスタチオは、それなりに値段が高く、カシューナッツやピーナッツなど比較的安価なナッツを使ったものも多い。エジプトなどでは、輸入に頼るピスタチオはかなりの高級品で、なかなか食べる機会がなかった。

バクラヴァには大量のピスタチオが使われる(写真:筆者撮影)

一方、ピスタチオが盛んに栽培されているトルコやシリアでは、お菓子店に多くのピスタチオを使ったバクラヴァが並べられている。トルコには、ピスタチオを使ったチョコレート菓子も多く、産地の南東部ガズィアンテプやアンタキアなどでは、これでもかとピスタチオを大量に使ったバクラヴァも売られていた。

ピスタチオなどの輸入を手掛ける総合食品商社、ユニオン商事(本社・名古屋)によると、ピスタチオの輸入量は前年比約2.5倍と急激に増えているという。同社の担当者は「栄養面の評価に加え、きれいな緑色がインスタ映えするなど色合いが人気の要因ではないか。焼き菓子やクリームにしたりと、お菓子を中心に幅広く使われるようになっている」と話す。

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【日本でも中東菓子に関心集まりつつある】

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