「マレーシア経由で米国の大学」という選択 米国留学を前提にしたプログラムがある

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もう一つ、苦労したことがある。それはマレーシアの英語の発音だ。高校時代に米国留学していたまどかさんは、当初マレーシア人の発音に慣れず、いったい何を言っているのか、ほとんどわからなかったという。

「はじめは訛りのひどい英語だと思いました。でもそのうち慣れてきました。マレーシア人の中には英語に苦労している人もいました。そのため、大学にはエッセーが書けない学生、文法が苦手な学生のために英語をサポートするコースもありました」

無事、規定の単位を取ることができ、2013年9月からニューヨーク州立バッファロー大学でビジネスを学ぶ。

「マレーシアに来たおかげで、米国の大学へ行くための基礎がしっかりできました。それから、英語も伸びました。とくにライティングですね。日本の大学では毎日勉強しなかったのですが、テイラーで毎日勉強するクセがつきました」

しかし米国に来た今、勉強量はさらに多くなった。

「マレーシアと米国、そして日本を比較すると、一番大変なのは米国の大学です。授業への参加状況、議論やプロジェクトへの参加状況などが厳しく審査され、卒業するのは大変です。たとえば、マーケティングの授業でも、米国にない新製品のマーケティングプランを作るとか、実践的ですね。日本にも似たような授業はありましたが、資料を基に、存在するものを改善するような感じでした」

あと1年半で米国の大学を卒業予定だ。将来は米国で働こうと思っているという。

「マレーシアでのインターンも経験しましたが、労働環境は米国のほうが優れています。日本に戻って長時間労働できるか?というとちょっと良くわかりません。日本にいたら、物足りなくなる気がします」

ビジネスを専攻していることもあり、将来は起業したいという気持ちも持っているという。

最後に、マレーシアで勉強したことを総括してもらった。

「日本人にとって、違う人を受け入れるということは、かなり難しいことなのではないでしょうか。その点で、マレーシアに来てみることはお勧めしたいです。国際色はマレーシアのほうが米国よりあると思います。米国は米国人が主流ですが、マレーシアはマレーシア人といっても一つの国に多くのカルチャーがあり、それぞれの文化が際立っています。イスラムが身近になってきたのも良かったです。まさに、これを求めていた、みたいな感じです」

野本 響子 ジャーナリスト

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のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

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