「安いモノ天国」日本のこの幸せな生活が終わる日 100均も激安外食も、このままは厳しい

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コロナ自粛で、買い物に行く回数が減った人も多いだろう。食品は大容量パックで買うことで、時間と手間の節約にもなる。大容量の食材を買うとそのあとの使い切り調理が面倒で、そこが逆効果となることもあったが、いっそ家事代行サービスで、第三者に料理の作り置きを依頼するのも一案だ。

週予算を決めたうえで、それに応じた品数をまとめて作ってもらうのだ。保存できる数日分を一度に作れば光熱費の節約にもなるし、なんといっても料理にかける時間が減るので、それを仕事時間に充てることもできる。家事にかける時間は減らし、お金を稼ぐ時間を増やすというのも立派なやりくり法だ。

買って所有ではなく、利用料を払う

安いモノを購入することで支出を減らすというのが従来型の節約法だが、安いモノがこの先減っていくなら、やや高めでも価値の落ちないものをあえて買う選択もある。

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メルカリなどフリマアプリ利用者の声によれば、「買う前に、まずいくらで売れるかを調べる」という人が半数以上とか。特に若者層では、リセールバリューから逆引きで購入を決めるのは珍しくないようだ。

購入した価格と、その後に売れた価格の差が、いわゆる「自分が使った期間の使用料」と考える。「所有のために買った」のではなく「使用料を払った」感覚だ。

筆者のような昭和脳では最初はピンとこなかったが、捨てることをよしとしないSDGs的思考とも思えてくる。

「使用料」は収入が少ない、増えない世代だからこそ生まれた発想かもしれない。しかし、どうせこの先あらゆるモノの値段が上がるのであれば、あえて「売れる」ものから選ぶのも立派な節約法となる。

ただ安いモノを買っていればよかったデフレ時代は、そろそろ終わる気がしてならない。激安好きの筆者だが、安さの裏側には苛烈なコストカット競争があり、それがわれわれの収入をも安くしてきたのだとすると、覚悟を決めて物価上昇を受け入れるべきなのか。

対抗策としてできることは、時間の効率を上げ、稼ぐ時間を増やすこととも思う。同時に、政府が「成長と分配の好循環」を速やかに実現してくれるよう願う。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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