コロナで物流が止まったことで、低価格のために安い労働力を海外に求めることの限界が見えた。世界的な供給不足で、商品確保のためには相応の金を積まないと他国に競り負けてしまうこともわかってきた。
さらに、エネルギー価格の高騰も先が見えない。脱炭素の動きが加速し、産油国は増産に後ろ向きだ。原油価格は上昇し、ガソリンや灯油高を招く。企業にも重くのしかかってくるだろう。かかったコストを製品価格に転嫁しなくては利益は上がらない。
欧州で問題になっている天然ガスの高騰は、これから冬を迎える日本にとって問題だ。発電燃料に使われるLNG(液化天然ガス)の価格上昇は電気代に跳ね返り、コロナで在宅時間が増えた家計を直撃する。ガソリン代の上昇も、車が欠かせない暮らしには大ダメージだろう。
この先、新興国が経済成長していくにつれて、人件費もどんどん上がっていくだろう。さらに世界的に消費が活発になれば、ますますモノの価格は上がる。日本を覆ってきた奇跡的な安さは、いよいよ幻になるかもしれない。
価格の安さより、トータル支出額で節約を
給料が上がらなくても、「安さ」のおかげで耐えてこられた日本の家計は、厳しい時代を迎えるかもしれない。
物価が上がるリスクを想定して、今こそ、家計費の配分から見直しをしたい。増えるものの予算を増やし、減らさせるものは削る。食費や日用品、光熱費は増加、逆に外出にかかる支出(例えば被服費や交際費)は削るか、あるいは毎月の家計費からではなくボーナスから半年分の予算を組む方法もある。
また、口座引き落としになっている支払いを改めて見直す。契約したこと自体忘れている月額課金サービスはないか、ひと月目は無料と聞いて会員になり、そのままなんとなく利用料を払い続けている会員サービスはないか。棚卸しをして、少しでも不要な支出を減らそう。
食費についても、これまでは安い店で安くモノを買って予算内に収めるのが王道だったが、かかる時間とコストとのトータルで考えることも必要だろう。ガソリン代が上がるなら、なるべくまとめ買いをするか、ネットスーパーや宅配を利用したほうが安く済む場合もある。
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