ネパール人をランチに誘ってはいけません?

日本人の常識は、世界の(かなり)非常識

食事では男性が上、でも日常で女性は女神扱い

――食事のマナーは日本とは違いますか?

実は日本に来て戸惑ったことがひとつあります。それはお茶席です。ネパールでは人とお皿を一緒に使うことや、人が使ったお皿を使うことはありません。必ず自分だけのお皿なのです。ところが茶道ではひとつのお茶碗をみんなで飲みますよね。

あるときお茶会にお招きを受けてとてもうれしかったのですが、それには正直なところ困惑しました。そこでいい方法を思いついたのです! お茶席では私と妻が最初にお椀を受け取る席に座るようにしたのです。その方法で今ではお茶席も楽しんでいます。

ひとつのお椀をみんなで飲むことにはまだ慣れませんが、それはどちらがいい、悪いではなく、作法が違うだけです。伝統的な話をするとネパールでは夫が使ったお皿を使えるのは妻だけで、妻が使ったお皿を夫が使うことはありません。それが夫婦の特別な関係なのです。

――食事では男性のほうが女性より上なのですね。

そうです。しかし、ネパールでは娘は女神とされているのですよ。ネパールでは敬意を払うときには足に触れてお辞儀をします。私は娘の足に触れるあいさつをします。しかし、息子にはお辞儀をするだけで足に触れるお辞儀は絶対にしません。娘というのはクマリ(バージンという意味)、生ける女神と考えられています。息子は私にプレゼントをくれますが、娘からもらうことはなく、いつでも私があげなければいけないのです。

女性がピュアという例をもっと挙げましょう。伝統的な話ですが、女性が生理になったら男性に触ってはいけません。料理もしません。今はたくさんの女性が働いているので、それほど厳しくはなくなりましたが、それでも今でもお寺には行かないですね。妊娠中や出産後3カ月ぐらいもお寺には行きません。赤ちゃんが産まれると5~6カ月後にお食い初めのセレモニーがあり、その日からお寺に行けます。

――女性への対応に関して、意識しておかなければいけないことが多くありそうですね。

そうですね。先ほども話をしたように、食事に関しては男性のほうが上ですが、普段の生活においては女性、特に娘はとても大切に扱われます。

食事の作法という話に戻ると、ネパールでは指を使って食べます。必ず右手で、左手は使いません。

――なぜですか?

左は「悪」とされています。お祈りをするときも右手。結婚をするときも右手。亡くなった人を思うときは左手を使います。‘She is a my right hand person(彼女は私の右腕だ)’という表現がありますが、それは「彼女はとても信頼できるよい人だ」という意味です。

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