日本に「オードリー・タン」が誕生しない納得の訳 「天才」がムダになる環境になっていないか
ウェルチ会長は、「なんですって? あなたは社長でしょう!」と驚きました。すると社長は、「いやいや、新しい事業については何も知らないのです。だから、一番若くて、頭のいい人にメンターになってもらっている」と言うのです。ウェルチ会長は、インターネットが急拡大している中、このアイデアは助け船だと思いました。
ウェルチ会長は、数日以内にGEのトップ500人に対して、「35歳以下の頭がいいメンターを探すように」と指示を出したのです。その結果、トップは下からの情報および新しい考え方を積極的に取り入れることができるようになりました。そして、他の会社も「逆メンター制度」を導入するようになったのです。
35歳以下の「若者顧問会議」を設立
台湾は国際人材が多い国です。李登輝元総統は、アメリカ・コーネル大学の農業経済学博士号、馬英九前総統はハーバード大学の法学博士号、蔡英文総統はロンドン大学の法学博士号を取得しています。総統以下の役人も、産業界でも、海外状況に敏感な方が多く、新しいアイデアに寛容です。当然、ウェルチ氏の「逆メンター制度」は台湾でもスムーズに受け入れられる環境です。
その台湾では、馬総統は「ひまわり学生運動」を見て、政権が若い人の声をもっと聴くべきであると判断し、35歳以下の「若者顧問会議」の創立を指示しました。初会合は、運動が終わった直後の2014年7月22日に開かれました。
26人のメンバーを専門別に6つのチームに分け、「若者顧問会議」が動きだしたのです。この制度を背景に、蔡玉玲大臣がタン氏を事実上の「メンター」にすることができたのです。国民党時代のタン氏の貢献は高く評価され、2016年の総統選挙で当選した民進党の蔡英文氏は、タン氏をデジタル担当大臣に任命したのです。
すなわち、台湾のいくつかの仕組み(教育、技術、情報交流)が融合した結果が、タン氏を大臣にしたと言えるでしょう。コロナ危機が台湾を襲った時、理解力が高く、技術に長けた人材が情報を広く収集し、いい対策が打てたのです。2020年1月23日、台湾は、ネット情報をトップに流し、正しく解釈することで、武漢からの直行便を禁止しました。技術経営が危機管理に大きく貢献したのです。
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