今も残る「プロマイド専門店」が見たスターの素顔 2500人もの笑顔を捉えた「マルベル堂」の物語
昭和の雰囲気を漂わせる「マルベル堂」
プロマイドや生写真という言葉をご存じでしょうか? 「知ってる、知ってる、下敷きにはさんでた」というあなた、昭和生まれでしょう? インターネットが普及していなかった当時、雑誌に付録でついてきたスターのポスターを部屋に貼ったり、生写真を買って手帳にはさんだり……憧れの彼(彼女)を身近に感じたくて涙ぐましい努力をしてたっけ。
レコードもお小遣いでは買えないから、貸しレコード屋で借りたり、テレビの前で歌番組をエアチェックしたり。そんなときに限って親が「宿題やったの?」「ごはん早く食べちゃいなさい」と声をかけてきて、「録音してたのに~っ(怒)」と悔しい思いをしたという方、きっとあなたも昭和生まれに違いありませんね。
今のようにネットですべてが手に入るような時代ではなかったあのころ、スターは遠い存在でした。物理的に遠いのはもちろん、私生活についても情報がとぼしく、アイドルはトイレに行かないと半ば本気で信じられていた時代です。
そんな昭和の雰囲気をいまも濃厚に漂わせているのがこの「マルベル堂」。店内に入ってみると、トシちゃん、マッチ、聖子はもちろん、秀樹やひろみ、五郎、そして裕次郎や健さんなど、さまざまな世代のスターがそれぞれ流し目や笑顔を投げかけてくれています。
そう、ここはプロマイドの専門店。いままでに実に2500人ものスターの笑顔を捉え、プロマイドとして販売してきました。そこにはさまざまな物語が秘められていることでしょう。6代目のカメラマン兼店長を務める武田仁さんにお話を伺いました。