今も残る「プロマイド専門店」が見たスターの素顔 2500人もの笑顔を捉えた「マルベル堂」の物語

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(写真:吉澤健太)

「プロマイドには手を顔の周りに配しているポーズが多くみられます。これはポーズが決まりやすいのもあるのだけど、『ファンはスターの指先まで見たがるものだ』という代々師匠の教えによるものなんです。指は長いのか、爪はどんな形をしているのか。そんなささいなことまで、この小さな1枚の写真で伝えたいという僕らの熱意の表れなんですね」

左から、竹本孝之、西城秀樹(1955〜2018)、太川陽介(写真:吉澤健太)

「昭和50年代あたりから、アイドルブームが到来します。髪型やファッションなんかもレトロで懐かしいでしょう。プロマイドは当時の世相を反映する貴重な社会的資料としての側面もあると思います。昭和中頃くらいまでのスターがすまし顔のポートレートを残しているのに比べると、アイドルは白い歯を見せてほほ笑んでいるものが多いですね。身近なお兄さんという感じに演出しているのかもしれませんね」

自分でもプロマイドを撮影してみたい!と思ったら

(写真:吉澤健太)

実は現在、この「マルベル堂」ではプロマイドを撮影してもらうことができるんです。スタジオは完全貸し切りで、昭和の小道具や衣装も完備されているから、身ひとつで行けばOK。成人式や卒業式の記念や、遺影(!)などの目的で訪れる人も多いのだとか。

(写真:吉澤健太)

取材に訪れた私とカメラマンの吉澤氏もこのプロマイド撮影を経験させていただいたのですが、これが想像以上に楽しい。昭和レトロな衣装に身を包み、武田さんにポーズをつけてもらうと、ちょっぴりスター気分。背筋が伸び、血行がよくなり、2、3歳は若返ったような感じ。「アハハハハ!」と、こんなに大声で笑ったの、いつ以来だったでしょうか。

昭和のスター……ではなくて、「マルベル堂」でプロマイドを撮影してもらった一般の方々。アイドルと仁侠映画のスターのようですね(写真:吉澤健太)

撮影してもらい、出来上がった自分のプロマイドに大笑いしながらも、あのころ、大好きなスターの写真を下敷きにはさんでいたピュアな気持ちさえ取り戻したような心持ちに。1枚のプロマイドがもたらしてくれる効用は思いのほか、大きなものがありました。

私とカメラマンもプロマイドに挑戦してみた!
「もしもし、おかあさん? 私、今日遅くなるから。アッコの家で試験勉強するの」
(早く電話終われよ~。さっさとしけこもうぜ)
……てな感じのちょい不良(ワル)シチュエーションで。

(文/秋山 都 写真/吉澤健太)

●マルベル堂

住所/東京都台東区浅草1-30-6
電話/03-3844-1445
営業時間/11:00~16:00
土日祝10:30~17:00
定休/なし

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