データで判明「TV揺るがすサブスクの脅威」の本質 約100万台の視聴ログで分析する民放への影響
では、民放の配信領域での取り組みがテレビ受像機においてどの程度視聴者に受け入れられているのか。海外の大手プラットフォーマーのサービスと比較しながら、全国平均と高所得地域(課税対象所得トップ10の港区、千代田区、渋谷区、芦屋市、軽井沢町、中央区、目黒区、文京区、猿払村、世田谷区を対象とした)の占拠率で見てみよう。
まずは無料配信の領域から比較する。無料配信の領域ではやはりユーチューブが圧倒的な地位を占めている。2021年1~3月期の占拠率は全国平均で13%にもなっており、かつ上昇し続けている。ただし高所得地域の占拠率が全国平均より低くなっており、無料であることの特徴が表れている。
国内の放送局は無料配信の領域でティーバーに注力しているが、スマートテレビにおけるアプリが正式にリリースされたのが2019年4月と遅かったこともあり、2021年1~3月期の占拠率は全国平均で0.4%とユーチューブには大きく差をつけられている。
ただし、ティーバー開始以前からスマートテレビでのサービスを提供しているABEMA(アベマ)やGYAO!(ギャオ)の占拠率が停滞する中で、ティーバーの占拠率の上昇が著しく、リリースから2年弱でこれらのサービスを追い抜いている。
ティーバーが伸びている理由
リアルタイム、オンデマンドという伝送方法の違いはあるものの、さまざまな放送局が制作した番組の一覧から見たい番組を選択できるという点は放送とティーバーで共通している。
テレビ受像機で長く視聴者が親しんできた「放送局の共通プラットフォーム」という放送の特性と「オンデマンド」という現代の視聴者が求める配信の特性が共存していることがスマートテレビにおいてティーバーの視聴が急速に伸びている理由として考えられるのではないだろうか。
無料であるにもかかわらず高所得地域の占拠率が全国平均を上回っている理由としては、高所得地域の住民ほど新しいサービスへの関心が高く、スマートテレビでティーバーを視聴できることの認知が進んでいるといったことが考えられる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら