データで判明「TV揺るがすサブスクの脅威」の本質 約100万台の視聴ログで分析する民放への影響

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まず、スマートテレビの電源が入っている時間に対する無料放送、有料放送、無料配信、有料配信の視聴時間の構成比を見てみよう。ここではこの指標を「占拠率」と呼び、以降の分析もこの指標を用いて行う。

(注)
無料放送:地上波、BS、CS110度の無料チャンネル。録画視聴、NHKは含まない。
有料放送:WOWOW、スカパー!などの有料チャンネル。110度以外のCS放送やセットトップボックス経由での視聴は含んでいないため、増減の傾向を示す参考値として理解されたい。
無料配信:ユーチューブ、ティーバー、GYAO!(ギャオ)など
有料配信:ネットフリックス、アマゾンプライムビデオ、フールーなど
録画視聴、NHK、グーグルのChromecast(クロームキャスト)などのストリーミングデバイスやセットトップボックスを経由した視聴はいずれにも含まない

(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

放送は無料と有料のどちらも占拠率が低下しており、テレビ受像機における放送の存在感が日に日に低下していることをデータは示している。とくにコロナ禍を迎えた2020年4~6月期以降の減少が目立つ。放送の占拠率が減少するのと対照的に増加しているのが無料配信、有料配信の占拠率だ。

ユーチューブを含む無料配信の占拠率も7.7%から13.9%へと3年間で約2倍弱に増加しているが、ここではネットフリックスやアマゾンプライムビデオを含む有料配信の占拠率が3.6%から7.6%へと2倍以上に増加していることに着目する。

コロナ禍で有料配信が大幅に増加

有料配信の占拠率はコロナ禍を迎えた2020年4~6月期にとくに大きく増加しており、巣ごもり生活で生まれた在宅での長い余暇時間が有料配信での“イッキ見“を普及させたことが想像できる。

前回記事で「放送」が中心だったテレビ受像機で「アプリ」の視聴が普及していることを述べたが、スマートテレビでのアプリ視聴の普及は「無料」が当たり前だったテレビ受像機を「無料と有料が混在する」デバイスに変容させているのだ。

日本の民間放送は「広告付き無料放送」の圧倒的なリーチ力を基盤として発達し、1953年から現在まで約70年にわたって安定したビジネスモデルを維持してきた。テレビ受像機が無料と有料の混在するデバイスに変容することは、多くの民放の収益基盤である広告付き無料放送というビジネスモデルにどのような影響を与えるだろうか。

無料放送と有料配信それぞれの視聴者層を分析すると、その影響がいかに大きいかがわかる。

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